ひとりでも多くの方に講談を知ってもらいたい

 だから、自分たちの城を持ちたいというのは、僕だけではなく、全講談師の悲願でもあります。若い子たちにとっては最高の修行の場になると同時に、ここで修行したんだ! というものがあると、それが誇りにもなります。

 そのためには、ひとりでも多くの方に講談を知ってもらいたいし、講談を楽しんでいただきたい。講談社から出させていただいた『講談放浪記』もその一助になってほしいという思いからです。

『赤穂義士伝』『天保水滸伝』『源平盛衰記』『出世の春駒』『四谷怪談』『寛永宮本武蔵伝』。話の背景を知っていれば、2倍、3倍…… 10倍楽しめます。巻末に掲載させていただいた師匠との対談……中でも、ちょっと艶っぽい師匠のバレ講釈は、僕も初めてうかがった貴重な話です。

 しかも、です。さらに……えっ!? これ以上、書いたらはみ出しちゃう? ここらから面白くなるわけでございますが、なんと、これ以上は書けないということで。続きは、『講談放浪記』でお楽しみください。

 これにて神田伯山の『THE CHANGE』、書き終わりでございます。

神田伯山(かんだ はくざん)
1983年6月4日生まれ。東京都豊島区出身。日本講談協会、落語芸術協会所属。2007年11月、講談師・三代目神田松鯉に入門し、『松之丞』。2012年6月、二ツ目昇進。2020年2月11日、真打昇進と同時に、六代目神田伯山を襲名。2018年『第35回浅草芸能大賞』新人賞。2020年ユーチューブチャンネル『神田伯山ティービィー』が、第57回ギャラクシー賞テレビ部門フロンティア賞を受賞。2023年「令和4年度 花形演芸大賞」大賞受賞。

■書籍『講談放浪記』
 伯山が名作講談の舞台となった場所を訪ねて、講談の持つ物語としての魅力を紹介。また、他芸能・他ジャンルの城ともいうべき場所を訪ねて、講談という芸能の未来について再考。現場に行っての論考だからこその臨場感が迫ってくる!
 2021年から2022年の1年間にわたった文芸誌「群像」連載を大幅加筆。加えて、師匠・人間国宝の神田松鯉氏との師弟対談も収録!
 1760円/講談社刊