1回戦が始まったばかりのM – 1グランプリ2023で、いま最も注目されている若手芸人が令和ロマンだ。M – 1グランプリ2022の敗者復活戦で鮮烈なネタを披露すると、視聴者投票2位に食い込んで今後の活躍を期待させた。その後も各劇場を沸かせて、7月の『ABCお笑いグランプリ』で準優勝。令和ロマンとは何者か。その正体に迫った。
 令和ロマンのTHE CHANGEとは――。【第4回/全4回】

令和ロマン 高比良くるま(左)と松井ケムリ 撮影/武田敏将

「お笑いをやめたい」とも考えた時にやってきた転機

 昨年は敗者復活ではオズワルドに僅差の2位。惜しくも決勝進出は逃した。今年で44回目を迎え、歴史あるお笑いコンクール『ABCお笑いグランプリ』では2年連続準優勝。着実に結果を残してきている。今年はいよいよM – 1グランプリでの活躍が期待されている。

――今年の『ABCお笑いグランプリ』では、優勝したダブルヒガシと同点の準優勝でした(ファーストステージの点数で判定)。

ケムリ 破竹……。

くるま 『上方漫才大賞』奨励賞のVTRで、ビスケットブラザーズのきんさんが「漫才とは」と聞かれて、「破竹」と完全に間違えたコメントしたやつ。僕らが「破竹」だとしたら2連覇してるんだよ。竹が割れてないんだよ。

――ハイヒールリンゴさんが技術を褒めてましたね。

くるま 見取り図の盛山さんにも「漫才がうまい」と言われて、意外な軸が見つかりました。東京だけでやっていたら、その評価は受けてなかったと思います。じゃあ、「漫才のうまさ」を際立たせることもやってみようと、これまでと違う努力ができることがうれしいです。東京のライブに出続けるんじゃなくて、大阪編に突入した感覚というか。ステージが変わっていくことが楽しいんです。

――令和ロマンの転機になった瞬間を教えてください。

くるま 2020年に『NHK新人お笑い大賞』で優勝したときです。楽しいことをしたくてお笑いを始めたのに、コロナ禍になって劇場の出番がなくなって。事務所から「YouTubeを頑張ってください」と言われても……と、毎日ヨガして映画観て寝ていたんです。「お笑いをやめたい」とも考えました。そのタイミングで『NHK新人お笑い大賞』に出たんですけど、運100%でウケて優勝できたんです。

ケムリ ほかにカベポスターさん、さや香さん、吉住さんが出ていたのにね。

くるま このとき、僕らの前に漫才師ルートができて、劇場で食べていく先輩たちの列に並ぶことができたんです。それがなかったら、「YouTubeをやれ」「モノマ
ネをやれ」「一発ギャグをやれ」と言われて、どれも中途半端なままだったと思うし、もしかしたら芸人をやめていたかもしれません。