キングオブコント2023を史上最高得点、史上最年長で優勝したサルゴリラ。芸人人生20年と聞くと苦労人のように思えるが、彼らは「楽しさ」を忘れることはなかった。サルゴリラのルールとは? THE CHANGEとは――。【第3回/全3回】

サルゴリラ

楽しくなければコントじゃない

――サルゴリラになった時、「二人がやりたいことをやろう」と決めたんですか?

児玉 「いや、“お客さんにウケるネタはなんだろう”と考えて、コントも漫才もリズムネタもやったんです。ただ、キングオブコント2020の2回戦で“自分たちが好きな笑いをやろう”と決めたらウケて。“自分たちが好きな笑いを育てたらいけるんじゃないか”と思ったんです」

赤羽 「それがいまのサルゴリラの源流になりました」

児玉 「雰囲気というか、台本の“……。”にこだわるようになったんです」

赤羽 「気まずい空気を生かすようにしています。自分たちでも“サルゴリラのコントはこうです”とひと言では表せないんです。強いて言えば“気持ち悪いコント”なのかな。キングオブコント2023の決勝進出が決まって、いろんな劇場でネタを叩いていくなかで、森ノ宮よしもと漫才劇場に出た時、袖で見ていた芸人の間で話題になったらしいんです。ただ、どの芸人も“なんかわからないけど、面白かった”と言うだけで、僕らのネタを説明できなかったみたいで。その感想がうれしかったですね」

――演技力の高さもサルゴリラの魅力だと思います。

赤羽 「しずるとライスと三組で19年に結成したメトロンズというユニットで演劇をはじめたことが大きくて」

児玉 「劇団として立ち上げたので芝居にこだわっているんです。稽古をしているなかで演技力が身についたのかもしれません」

赤羽 「吉本の同期三組なので、ゆるいユニットコントをやっているイメージを持つ人がいるかもしれないけど、ガッチガチのお芝居をしているんです」

児玉 「メトロンズを結成してから、サルゴリラのネタ合わせでも“いまどんな気持ちでボケてる?”とか言うようになって(笑)」

赤羽 「演劇のメソッドを取り入れるようになったんです」

伝説となった“サカナ”ネタ

――キングオブコント2023で披露したネタについて聞かせてください。

赤羽 「1本目の『マジック』は3年前にできていたネタなんですけど、トモの“午前中に区役所に行って”というセリフをバイきんぐ小峠さんが“キャラに深みが出た”と褒めてくださったことがうれしくて」

児玉 「準決勝本番の直前に合わせた時、あのセリフをアドリブで入れたら“面白い”となって。実際にやってみたらお客さんのウケは良くなかったけど、ニューヨーク屋敷が“あのセリフ、めっちゃ面白かったすわ~”と言ってくれたんです」

赤羽 「あれはうれしかったね」

児玉 「『マジック』はもともと10分以上あったけど、まわりの芸人から評判がよくて、僕らも好きなネタだから、叩いて叩いて完成させました。2本目の『サカナ』は、キングオブコント2022の準決勝で落ちて、その後の新ネタライブでやったら反応がよかったので、1年かけて育てたんです」