三島由紀夫さんとの出会いが、一つの転機でした

 そして再び上京した私に待っていたのが、俳優として舞台に立つ、とても刺激的な生活でした。

 最初は翻訳モノのお芝居で、さっぱり意味が分からなかったのですが、とにかく台詞を覚える、その一心でやりましたね。

 このお芝居を観に来ていた三島由紀夫さんとの出会いが、一つの転機でしたね。新しい舞台で使う俳優を探していて「芝居は下手だけど脚のきれいな男の子がいる」と聞いて私を見にいらしたんです。

 脚がきれいと言われても、なんのこっちゃなんですが(笑)、そのおかげで『葵上』という、源氏物語をベースにしたお芝居で、若林光、光源氏の役をやらせていただきました。

 とは言っても、演技なんてろくにできないので、タキシードを着て舞台に立っていただけでしたけどね(笑)。

 三島さんには本当にお世話になって、食事に連れて行ってもらったり、日本舞踊や絵画など、さまざまな世界の方を紹介してもらったり、能を見せてもらったりしたけど、私には皆さんが話している内容も、能の良さもさっぱり分からなかった。

 しかし、毎日が刺激に満ちていて、こういう人たちが世の中を動かしていくんだな、という思いはありました。

 よく「おまえ、三島さんとなんかあったんだろう」と言われましたが、正真正銘、なんにもないですよ(笑)。