『なんでだろう』は「いまだに飽きたことがない」

 わかりやすいロールモデルを目指す気もなく、向いてもいないことを早々に悟った二人はその後、長らく“消えた一発屋”と見なされる時期を過ごす。そこからさらに転機を迎えたのは10年ほど前だ。

トモ「“消えた”と言われていた時期もずっと営業やイベントには呼んでもらえていたんですよ。2013年頃からブログを始めたり、僕らが出たイベントにたまたま来たライターの方が記事にしてくださったりしたのがきっかけで、“消えたと思われてるけど実は全国で活躍してる”ってことで『深イイ話』(日本テレビ)で密着取材をしていただいて。そこで“営業の神様”というキャッチフレーズをつけてくださったんです。
 そこからさらに営業が増えました。“そういう世界もあるんだ”って世間が認めてくれた。こちらがやっていることは“消えた”10年間とそんなに変わらないんですけどね」

 2023年の年間ステージ数は約200本。2020年からはYouTubeも開設し「歌ってみた」動画を上げるなど、新しいことにも挑戦し続けている。これだけ息の長い芸人になった理由を自分たちではどうとらえているのか。

テツ「本当に『なんでだろう』さんのおかげですよ。僕はトモが作曲して『なんでだろう』が完成したとき、これに惚れ込んで、世の中の人に知ってもらいたいと思いました。その気持ちが今も続いているんです」
トモ「『なんでだろう』があったから今があるのは間違いないです。20年以上経っても小学校を回ると、子どもたちが2003年の頃と同じように歌ったり踊ったりしてくれるんですよ。いまだにパワーがすごいんですよね」
テツ「僕自身、飽きたことが一回もないです。いまだに大好きで、やるのが楽しい。まだ小さい子やこれから生まれてくる子は『なんでだろう』を知らないわけじゃないですか。だからまだまだ知ってもらう余地がありますよね。目標は4世代に届けることです! 今、3世代までは来てますからね!」

 ひとしきりインタビューを終えた後の写真撮影で、「なんでだろう」のポーズをお願いすると、演奏と動きもつけた全力の「なんでだろう」を披露してくれた。カメラマンが思わず「かっこいいですね……」と言葉を洩らす。たしかに、20年以上一度も飽きることなくやり続けてきた凄みのようなものがそこには宿っていた――。

テツandトモ
●中本哲也(なかもと・てつや)
1970年5月9日生まれ。滋賀県出身。
●石澤智幸(いしざわ・ともゆき)
1970年5月10日生まれ。山形県出身。
日本大学藝術学部演劇学科の同級生同士で1998年に結成。1999年の放送開始と同時に『爆笑オンエアバトル』(NHK)に出演し、常連に。『M-1グランプリ』2002年ファイナリスト。2003年に『テツandトモのなんでだろう~両さんバージョン~』などをきっかけにブレイク。現在もお笑いと歌で全国各地のイベント等に出演を重ねる。レギュラー番組に『テツandトモのなんでだラジオ!』(山形放送)がある。

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