赤と青のジャージ、ギター片手に「なんでだろう♪」で一世を風靡したテツandトモ。2003年の大ブレイクからしばらく後、テレビ出演の機会が減って「消えた一発屋」と呼ばれるも、実は全国各地で年間約200本のイベントに出演する「隠れ売れっ子」として現在も活躍していることは、つとに知られている。結成から25年を超えた彼らの「THE CHANGE」とは――。【第5回/全5回】

テツandトモ 撮影/向後真孝

 テツandトモにとって2003年は自分たちで「ピークの年」と称する通り、大躍進を果たした1年だった。1月にアニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(フジテレビ系)のエンディング曲に『テツandトモのなんでだろう~両さんバージョン~』が起用され、翌月発売のシングルがオリコンウィークリーチャートで10位に入るヒット。

 年末には新語・流行語大賞、年間大賞を受賞し『NHK紅白歌合戦』に出場する。もともとコンビ結成時に二人が立てた目標は「『紅白歌合戦』に歌手として出場すること」だった。

テツ「それもおかしな話ですけどね、芸人なのに(笑)」
トモ「ちょっとズレてる(笑)。そのためには歌を歌わなきゃいけない、CDを出さなきゃいけない、CDが売れなきゃいけない、そのためには知名度を上げないといけない……って逆算して毎年目標を立ててました」

 現在は様相が代わりつつあるが、お笑い芸人の“出世すごろく”といえば「ライブで腕を磨く」→「テレビに出る」→「レギュラー番組を複数本持つ」「冠番組を持つ」という流れが定番だった。だが二人はそのルートを夢に掲げたことはないという。

トモ「冠番組やレギュラー何本という目標を立てたことは一度もなかったです。それに、僕らはバラエティに呼ばれてもあんまり結果を出せなかったんですよね。ひな壇でわずかな隙間を縫って短い言葉で笑いをとる方たちの能力はすごい。僕らはそこで戦う能力がありませんでした」
テツ「戦い方がわからなかったです。それができるみなさんのことは大尊敬してますね。天才ですよ」
トモ「僕らはそれよりもきっちりネタを作ってそれを生でお見せして笑っていただくほうが向いてましたし、好きでした。ふたりとも、もともと舞台役者を目指していたから、やっぱり根がそちらなんでしょうね」