ドラマのヒットを呼び込んだのは作品への“愛”

――違う現場に出たことで、それぞれの仕事への還元や相乗効果は感じますか?

「もっと豊かでもっと自由な表現。もっと力を抜いて“捨てて”いくことをより意識するようになりました」

――捨てていくこと、ですか?

「はい。ひとつの大きなテーマです。映像の芝居として、声優として培ったものや、自分だからこそ出せる強みもあると思いますが、あまり意識していません。それと“ああやろう、こうやろう”というのは、芝居のビジョンとして大事なことですが、そういったことを捨てていくことは、それ以上に大事なことですし、同時に難しいことだと感じています。
 そして言葉にするととても青臭いようですが、近年の映像作品への参加で、作品や表現がよくなるために必要なのは“愛だな”という実感に、もう一度出会うことができました」

――ステキですね。そう感じる出来事があったと。

「作品やキャラクターに対して、すごく愛の深い俳優さんやプロデューサー、監督、作家さんがいらっしゃることによって、作品がものすごくよくなる。あるドラマでとても実感しました。そこで、特にチーフのディレクターとプロデューサーの方が、とても愛を持って臨んでいることがビシビシ伝わってきたんです。
 僕の演じたキャラクターや、俳優としての僕自身についてもすごく考えてくれて、“こういう動きをしましょう”“こうするともっと膨らむと思うんです”と、考えていってくれました。本来、そういったことを考えるのは役者の仕事だと思っていたのですが、そのとき、自分が思ってもいない演出を受けることで、“ああ、僕がやらせていただいているのは、そういう人物なんだ”と発見があったりして、コラボ感がすごく面白かったんです。実際にそのドラマはヒットしましたし、それを呼び込んだものは“愛なんだな”と感じました」