自身の中に生まれる“怒り”が原動力になる

――表裏一体。

「優しさと怒り、ポジティブとネガティブは表裏一体です。キンモク先生は、人よりもその振り幅が大きなキャラクターなのかなと感じました。だから、裏返ってしまったときに、ダークな面が強く出てしまったのだろうなと」

――キンモク先生に共感したとのことですが、津田さん自身にもダークな面はありますか?

「めちゃくちゃありますよ。基本的に“怒り”はすごく持っています。ただそれをまき散らすのは本当に嫌いです。自分の中で感じる怒りも、世の中に対する怒りも、両方ともたくさん湧き上がってくるものです。若いころは特に。でもそれが僕ら表現していく人間にとっては、原動力や燃料になります。だからなるべく思考停止しないように、怒りはしっかりと感じたほうがいいと思っています」

――怒りを止めるのではなく、しっかりと感じる。

「はい。大事なのは出口。まき散らすのではなく。だって表現をやっているわけですから。その辺で人を捕まえて怒ったり、仲の良い人に愚痴ったりとか、そういうことなら表現しなくていい。表現のなかで出していくのが、表現者ではないでしょうか」

 表裏一体、怒りもしっかり感じて燃料に。津田さんは、これからもさまざまな炎を燃やして、ジャンルを問わず、魅力的なキャラクターを生み出していってくれるだろう。

津田健次郎(つだ・けんじろう)
1971年6月11日生まれ、大阪府出身。’95年に声優デビュー。近年は俳優業でも活躍。声優業の近年の代表作として、『遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ』(テレビ東京系)や『薄桜鬼』(テレビ東京系ほか)『ゴールデンカムイ』(TOKYO MX・BS11ほか)『呪術廻戦』(毎日放送・TBS系列)『チェンソーマン』(テレビ東京系)など。俳優業として、’20年のNHK連続テレビ小説 『エール』(兼ナレーション)、ドラマ『最愛』『ラストマンー全盲の捜査官ー』(ともにTBS系)『大奥 Season2』(NHK)、映画『映画 イチケイのカラス』(2023年)『わたしの幸せな結婚』(2023年)に多数出演。『映画 マイホームヒーロー』が現在公開中。

『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』
原作:トロル
監督:セトウケンジ
脚本:高橋ナツコ、成田順
声の出演:三瓶由布子、齋藤彩夏、櫻井孝宏、 ゲスト:仲里依紗、津田健次郎、二又一成
(C)トロル・ポプラ社/2024「映画おしりたんてい」製作委員会
配給:東映
3月20日(水・祝)公開