――縁だからこそ、次につながるようにひとつひとつを大切に、結果を残してきたと。役とも縁だとのことですが、あえて挙げるなら、自分の強みはなんだと思いますか?

「なんにでもなじめることかな。顔もわりと薄いですし。特別かわいいとかでもないですし。そこら辺にいそうなタイプだというのが、強みかなと思っています」

――そこら辺にはいないと思いますけども。ただ朝ドラでヒロインをやっていたとき、大阪での長期ロケ撮影の際に、街を歩いていても声をかけられなかったと聞きました。

「かけられないです。いまでも全くかけられないです。“なじむ力”がすごくあるのかもしれないです」

俳優の光石研から影響を受けた

――たくさんの方とお仕事されてきたと思いますが、影響を与えてくれた先輩をひとり教えてください。

「光石研さんがすごく好きです。光石さんにお会いできたのは、とても大きいと思っています」

――光石さんはデビューが『博多っ子純情』(1978)ですから、子役から俳優を続けている大ベテランですね。

「お芝居ももちろんですが、人間性が好きなんです。こんなに作品に出続けているのに、礼儀といったことを一番大切にされている感じがすごく好きです」

――ベテランの方や大御所の方ほど、腰が低かったりしますね。

「作品に出続けている方々は、もちろんみなさんお芝居がうまいですし、共通して優しいです。人間的に尊敬する部分がたくさんあって、わたしもそうありたいなと思います」

「なじむ力」がすごいのは、自然な演技力に長けている証だろう。そういった技術に慢心することなく、先輩の優しさや礼儀に尊敬のまなざしを向け続ける川栄さん。まだ29歳。自らの力で縁をつないで、ますますいろいろな役や作品を見せていってくれるに違いない。

川栄李奈(かわえい・りな)
1995年、2月12日、神奈川県出身。2015年にAKB48を卒業してほどなく、舞台『AZUMI幕末編』、翌年『戦国編』で主演を務めて好評を得る。その後連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(NHK)『3年A組‐今から皆さんは、人質です‐』(日テレ系)大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK)『家政夫のミタゾノ』(テレ朝系)などに出演。トーク番組『A-Studio』では10代目のアシスタントを務めた。ほか主な出演作に映画『亜人』『センセイ君主』『恋のしずく』『泣くな赤鬼』、ドラマ『夕凪の街 桜の国 2018』『青天を衝く』(NHK)『となりのナースエイド』(日テレ系)など。現在、映画『変な家』が公開中、舞台『千と千尋の神隠し』で千尋役を演じている。

●作品情報
映画『変な家』
原作:雨穴「変な家」(飛鳥新社)
監督:石川淳一
脚本:丑尾健太郎
出演:間宮祥太朗佐藤二朗
川栄李奈
長田成哉、DJ松永(Creepy Nuts)/瀧本美織
根岸芽衣、高嶋政伸、斉藤由貴、石坂浩二
(C) 2024「変な家」製作委員会
配給:東宝
大ヒット公開中