“ハムレット”という役には役者の色が出る
――海外でも日本でも、本当に数多くの役者、劇団、演出家の手で形になってきた戯曲ですね。柿澤さんは、これまでにも多くの舞台に立たれてきたわけですが、やっぱり『ハムレット』は違いますか?
「役柄の“ハムレット”に関して言うと、演出や役者が違うだけで、こんなにも違うんだと感じます。役者の色が如実に出るんです。おそらくハムレットが出ずっぱりで喋りっぱなしというのが大きいのかなと思います。自分自身の持っているパーソナルな経験や、イマジネーションを駆使してセリフに投影しなきゃいけない役だからこそ、役者の色が強く出るんだろうと思っています」
――そうした意味での怖さもありますか?
「それよりも役者として未知というか、こんなに喋ることはなかったのでその怖さです。翻訳劇で、台詞も日常会話じゃないんですよね。英語圏の人たちも普段は使わない言葉ばかりです。それを自分の実感を伴わせて喋ることがいかに大変なことか……。分量ということも含めて、怖さを感じています」