気になる作家の日常生活

翔吾「作家の暮らしってどんなイメージなんだろうね。“この先が出てこぬのだ!”って言って紙をくしゃくしゃしてポイ、みたいな感じ? それで隣に女性がいて“せんせぇ、慌てたらあきまへんえ~”ってしな垂れてる(笑)。そんな暮らし、せえへんよな」

川西「何時代なんだ(笑)」

昌弘「僕なんか、この冬、エアコン使ってませんからね」

翔吾「え、節約で?」

昌弘「去年、冬の電気代を見たとき、ウッ、となったんですよ。一人暮らしなのに、電気代が月に1万円超えるとショックなんです。結局、冷房よりも暖房のほうが電気代がかかるんですよ」

翔吾「なんの話や(笑)」

昌弘「机に向かっているなら足元だけが温まったらいいんじゃないかと思って、パネルヒーターを買ったり」

翔吾「僕は今年から足湯を取り入れたよ」

川西「家に足湯があるってこと?」

翔吾「あるんです、ボトルみたいな、ナントカ夢生活、みたいな通販で売ってるやつが(笑)。お湯を42度に保ってくれるので、足を入れると暖房を切っていてもずっとあったかいんです。やっぱり頭がぼーっとしてくるとダメなんで」

川西「そうすると、トイレに行くときは足を一度拭かないといけないの?」

翔吾「そうなんです、タオルをそばに置くのを忘れたときの絶望感はヤバいです」

昌弘「ちょっとお金が入ってきたとしても、経済的な感覚は忘れないようにしないといけないですよね」

翔吾「普通の作家って、ひとりで事務的なこともやってたり、家族がやってくれたり、人を雇っても1人とか2人とかだと思うんです。僕のところはスタッフが13人とかいるんで、みんなの給料を払わないといけない」

昌弘「僕は翔吾さんが何人かいるんじゃないかと思ってます。また書店をオープンしてるし」

翔吾「去年は執筆メインで動いていたけど、今年は、種をまいていたのが形になるというか、ツアーが始まる感じです。川西さんは、明日ライブですよね」

川西「うん、たぶん」

翔吾「(笑)明日、明後日がライブですよ。僕も行きます。今日のお客さんも、明日明後日行く人、いてはるんじゃないですか。めっちゃいいよな、このイベント。だって、ライブに行ったら、川西さんは点でしか見えない(笑)。前にライブを見させてもらったときに思ったのが、こんなちっちゃい点でも、川西さんがめちゃくちゃ元気だってわかるんだよね。ユニコーンのメンバーはみんな元気だから、改めて年齢を聞くとビックリする。その年でそんなに動けるのかって」

川西「それは、普段から本を読むっていう自分の趣味を楽しんでいるからかもしれない。だから、続きものは早く読みたくてね。早く書いてほしいんだよ(笑)」

(つづく)

■川西幸一(かわにし・こういち)
1959年広島県生まれ、広島県在住。ロックバンド「ユニコーン」のドラマーとして1987年にデビュー。「大迷惑」「働く男」などのヒット曲をリリースする。1993年2月にユニコーンを脱退し、バンドは同年9月に解散。2009年にユニコーンが再始動。最新アルバムは「クロスロード」。時代小説の大ファンとしても知られ、年間百冊近くを読破する。

■今村翔吾(いまむら・しょうご)
1984年京都府生まれ、滋賀県在住。2017年に発表したデビュー作『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』で第7回歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞を受賞。『童の神』で第160回直木賞候補、第10回山田風太郎賞候補。『八本目の槍』で「週刊朝日」歴史・時代小説ベストテン第1位、第41回吉川英治文学新人賞を受賞。『じんかん』で第163回直木賞候補、第11回山田風太郎賞受賞。2022年『塞王の楯』で第166回直木三十五賞受賞。最新作は『戦国武将伝(東日本編・西日本編)』(PHP研究所)。

■今村昌弘(いまむら・まさひろ)
1985年長崎県生まれ、兵庫県在住。大学卒業後、放射線技師として働きながら小説を書き、2017年『屍人荘の殺人』で第27回九鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。同作は「このミステリーがすごい」で1位を獲得し、神木隆之介、浜辺美波の主演により映画化された。ほかに『魔眼の匣の殺人』、『兇人邸の殺人』、『ネメシスI』。最新作は『でぃすぺる』(文芸春秋)。