「一瞬誰だか判らなかった……」が快感

 髪を切ったことが、中村さん自身に大きな変化を与えた。

「切った瞬間のことはすごく覚えています。もうメッチャ軽くなったんですよ。いろんなものが削ぎ落とされた感じがしたんです。それまでは、自分が自分のイメージに縛られていて、こうでなきゃいけないとか、求められたことにちゃんと応えなきゃ……とか、そういったことが結構あったんです。もちろん、そうしてきたから、自分がここまでやってこれたというのはありましたけど。それまで自分を縛っていた枷みたいなものが取っ払えた。髪を切った時に、一瞬誰だか判らなかった……みたいなことがありましたが、それ自体がすごい快感といいますか、開放感でもありましたね」

 現在放映中で主演を務めているドラマ『約束~16年目の真実~』でもショートヘアを披露している。

「ちょっと髪も伸びていたんですけど、台本を読ませて頂いた時に演じるキャラがボーイッシュな感じがしたので、少しだけ切ったんです」

 中村さんが演じるのは主人公である桐生葵。16年前に起きた連続殺人事件で逮捕され、留置所内で病死した父親の無実を証明し、事件の真相を追っていく。そんな中で、新たな殺人事件が発生。16年前の事件の真相は? 真犯人は?──という考察系心理サスペンスだ。これまでもたくさんの役をやってきたが、(意外や)本格的な心理サスペンスものは本作が初めてだそうだ。

「お話を戴いた時は“ぜひ!”という感じでした。何より完全オリジナルということなので、どんな話なのかすごく気になりました。台本がとにかく面白くて、これが画になったらどうなるんだろうって考えたら、私も含めた演者さんのお芝居がすごく楽しみに思えてきました」