映画『九十歳。何がめでたい』では昭和の男、編集者の吉川真也を演じている

 まわりからどう思われるのか臆病になりすぎて口を閉ざし、その反面、匿名で悪口を言う現代。だからこそ堂々と「これはおかしい!」と言ってくれる佐藤愛子氏のエッセイ『九十歳。何がめでたい』(小学館)は、幅広い人々から圧倒的な支持を受けてベストセラーになった。

「佐藤先生は若いころにとても苦労されていて、その経験を描いた『戦いすんで日が暮れて』(講談社)はリアリティがあったし、本音を書いたエッセイが支持されてきたんだと思うんです。まして、コンプライアンスやら忖度(そんたく)やらにがんじがらめの今、90歳の佐藤先生が〝こんなのおかしいわよ!〟と声を大にしてくださったのは、痛快だったと思いますね」

 映画は、断筆宣言をして家にこもっていた佐藤愛子に、大手出版社の女性誌編集者・吉川真也がエッセイの執筆を持ちかけるところからスタートする。

「ぼくが演じた吉川という男は、仕事人間で家庭のことは妻に任せっぱなしにした結果、妻と娘から愛想を尽かされるわけだけど、昭和の夫としては特に珍しくないんだよね。でも、女性の方が時代に対応する能力に長けているから〝こんなのおかしい〟となる。だっていまは、女性が生き方を選択できる時代だから。もっと言えば、女性の方が社会に必要とされている感じがする、男性より」

唐沢寿明(からさわ・としあき)
1963年6月3日生まれ、東京都出身。’87年に舞台『ボーイズレビュー・ステイゴールド』でデビューし、映画、テレビドラマで活躍。主な出演作は、大河ドラマ『利家とまつ〜加賀百万石物語』(NHK)、『白い巨塔』(フジテレビ系)、『ルーズヴェルト・ゲーム』(TBS)、『フィクサー』シリーズ(WOWOW)、映画『ラヂオの時間』、『20世紀少年』シリーズなど。声優としてはアニメ映画『トイストーリー』シリーズでウッディの声を務める。

映画『九十歳。何がめでたい』2024年6月21日(金)全国公開

シリーズ累計178万部の人気エッセイが映画化
生きづらい世の中を〝一笑両断〟! 笑いと共感の痛快エンターテイメント!

原作:佐藤愛子
監督:前田哲
脚本:大島里美
出演:草笛光子
唐沢寿明/藤間爽子、片岡千之助、中島瑠菜
オダギリジョー、清水ミチコ、LiLiCo、宮野真守、石田ひかり、三谷幸喜
木村多江、真矢ミキ
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/90-medetai/