日本をもっと知りたい

 世界に挑戦したい若い俳優たちには、ショービジネスを考えるうえで、ロシアとウクライナ、イスラエルとガザの問題とか、そういうことにも、常に目を向ける必要があるとアドバイスをしたいです。自分の意見を主張する必要はありません。でも、さまざまな世界の問題を自分のこととして、グローバルな問題も考えてみるべきです。円安、円高のときで、日本とアメリカ、どちらで仕事をしたほうが良いのかと考えることだって必要です。

 また、アメリカでは日本のことを聞かれることも多かったです。「ゲイシャやサムライはいるのか?」というのから始まり、日本の文化や社会、政治、宗教のことまで尋ねられても、僕は答えられなかったんです。自分が日本のことを全然知らないということに気づかされました。

 だから、ということでもないのですが、最近は、地元の奈良市の観光特別大使を務めていますし、これまで沖縄、広島、奈良、など地方密着型の映画製作に携わってきました。

 これも日本をもっと知りたいという思いの一環です。そもそも、すべての事件や恋愛が東京で起こるなんてことはない。地方を舞台にして撮影してみると、同じストーリーでも、まったく違って見える効果もあるんですよね。

 今回は、山口県下関市を舞台にした映画を撮りました。これきりにせず、今後も地域密着型の映画は必要だと思っています。

加藤雅也(かとう・まさや)
『メンズノンノ』創刊号のファッションモデルを務め、パリコレにも出演。モデル活動を経て、1988年に『マリリンに逢いたい』で俳優デビュー。現在はラジオDJ、写真家としても活動の場を広げている。近年の主な出演作に『1秒先の彼』『カムイのうた』『カラオケ行こ!』『キングダム』がある。レギュラー番組は『加藤雅也のBANG BANG BANG!』(FM yokohama)。初の著書である『僕の流儀What’s Next?』が発売中。Instagram:@masaya _kato1192

映画『幽霊はわがままな夢を見る』
下関出身のグ スーヨン監督が贈る、切なくもおかしい人間ドラマ
女優の夢が敗れ、故郷の山口県下関市に帰ってきたユリ(深町友里恵)は、父親の昌治(加藤雅也)が経営する倒産寸前のFM局を手伝うことに。『耳なし芳一』をモチーフにしたラジオドラマで、起死回生を図るが……。監督・脚本はグ スーヨン。
6月29日( 土)東京・渋谷ユーロスペースで公開ののち、全国で順次公開。