今日のドラマや映画の世界で、極めて独特な光を放つ松本まりかさん。2024年は、4月期連続ドラマ『ミス・ターゲット』(朝日放送系)でGP帯(ゴールデン・プライム帯を指し、19時から23時の時間帯)で初主演を務め、映画『湖の女たち』では福士蒼汰さんとW主演、ドラマ『ブラック・ジャック』(テレ朝)では獅子面病の患者……と、さまざまなキャラを演じ、いま最も勢いのある俳優の一人である。そんな誰もが認める実績を持つ松本さんも、今日の活躍までには人に見せない長い苦労があった。そのあいだ、多くの葛藤や心の変化があったという。その先に見いだしたものは?【第1回/全3回】

松本まりか 撮影/三浦龍司

 松本まりか。現在39歳。甘い声、笑ったときにできる自然なえくぼがチャーミングだ。この日は白のブラウスに黒のサスペンダースカートといういでたちで、落ち着いた大人の女性の雰囲気を醸し出していた。

 松本さんのデビュー作品は’00年放映のドラマ『六番目の小夜子』(NHK)。当時はまだ15歳の中学生だった。その後、いまの名声を得るきっかけとなったのが’18年に放映されたドラマ『ホリデイラブ』(テレ朝系)での井筒里奈役であった。

「ありがたいことに『ホリデイラブ』の放送後はネットニュースになることが多くて。それまで、ネットニュースに取り上げられることなんてなかったので驚きました。当時は毎週“自分が”というよりも、私を取り巻く環境がすごく変わっていったというか、盛り上がっていったみたいな感覚はありましたね」