個人だけが受け取るのではない「テレビの役目」

 ドラマ『テイオーの長い休日』の会見で、船越さんはいろんな世代の方に共感してもらいたい作品だ、と語っていた。その真意はどこにあったのだろうか。

「テレビっていう媒体、メディアには役目があります。

 その役目はなんだって言ったら、やっぱり僕は、コミュニケーションツールという役割を担う必要があると思うんです。情報を提供するっていうこともそうなんですけれど、情報を共有してほしいと。

 昔はテレビって啓蒙もしてもらいましたし、教育もしてもらいました。

 それは個人だけが受け取るんじゃない。親と子どもとおばあちゃん、おじいちゃんと3世代が見たら、3世代がそのテレビから得た情報をみんなで話し合うことで、それぞれがそれぞれの世代に触れていくわけですよね。それぞれの世代の悩みがそこで語られたりする。本当に理想の形かもしれない。

 それがやっぱり世の中を豊かにしてたし、家族の間のコミュニケーションを豊かにしてたと思うんですよね。でも、いつの間にか核家族化が進み、テレビの視聴方法もどんどんパーソナルなものになっていきました。

 いまやもう、テレビもSNSも同じ次元にあるじゃないですか。同じ端末で見るわけですからね。YouTubeも見れば、テレビでも見てしまう」

 スマホがまさに万能のツールとなった世の中で、テレビの役割が変化していったことは間違いない。