奇跡の歌声とも呼ばれるクラシック音楽歌手の岡本知高。世界的にも希有な「天性の男性ソプラノ歌手」として、その歌声はジャンルの垣根を超えて人々を魅了してきた。CDデビュー20周年を迎え、テレビ番組への出演やコンサートツアーと精力的に活動している岡本知高のチェンジとは?【第2回/全5回】

岡本知高 撮影/三浦龍司

 岡本さんが、活動でとくに大事にしているのがコンサートだ。昨年から、岡本さんの地元である高知県を始め、北海道、富山など日本各地を飛び回っている。彼の原点であるステージへのこだわりについて詳しく聞いた。

「演奏も衣装も最初は自己満足から始まりました。歌が好きになって勉強をすればするほど、自分のなかからあふれ出てくるものがあった。それはもしかしたら作曲家の方が意図していない表現法だったりするかもしれないですが、僕自身がこう表現したいと思うところが大事なんだって思えるようになった。そこで自分自身の殻を破ったところには、僕しか作り出せないパフォーマンスができるようになっていきました」

 決まった型があるクラシックの世界から、岡本さんは歌手としてどんどん個性を発揮していった。

「自分の中でおしゃれに目覚めてからは、“どうして男性歌手は白と黒のタキシードを着なきゃいけないんだろう?”って感じるようになった。そこから、オリジナルのでっかい布を纏ってみたいとか、綺麗な色を着たいというイメージがどんどん膨らんで。私服もいろいろなものにチャレンジをするようになって、もっと自由で良いんじゃないかなって考えられるようになった。