宝くじは1枚より2枚のほうがいい

――東京吉本の傾向として、そういう芸人が多いんですか?

屋敷「いや、そんなこともないと思います。空気階段なんてコント1本ですから。むしろ大阪吉本のほうが、本来はコント師のロングコートダディさんやニッポンの社長も『M―1グランプリ』に出ているじゃないですか。その逆のパターンも多い印象があります」

嶋佐「大阪のほうが賞レースを目標にしている芸人が多いのかもしれない」

屋敷「東京の芸人はカッコつけたがりなんですよ。東京03さんやシソンヌさんみたいに、コントの単独公演だけでも食べていける芸人がいるから、自分らもそうなれると勘違いしている。東京03さんの影響で“漫才、恥ずかしいんですよ”なんてカッコつけて。両方やればいいのに、と思うんですけど(笑)」

嶋佐「よくわかんないよね(笑)」

屋敷「そんなに売れていないのに『M―1』か『キングオブコント』のどちらかに絞るヤツってすごいなと思いますよ。宝くじが1枚より2枚のほうがいいじゃないですか」

――昨年の単独ライブ『虫の息』を観ましたが、芸能界での立ち位置が変わってきてもネタのスタンスは変わらないというか」

屋敷「そう言ってもらえるとうれしいけど、“売れても変わらないスタンスでいよう”と意識しているわけでもないんです」

――固有名詞もバンバン入れて、それこそ1本目のネタは松本人志さんの名前を出してました。

嶋佐 「昨年末のネタ特番では、ご本人の前であのネタをやらせてもらったんです」

屋敷「だいぶ前から固有名詞を入れた漫才をやっていたけど、その頃は“どうせ本人に届かないだろう”と思ってましたからね。ましてや本人に会うなんて想像してなくて」

嶋佐「元卓球オリンピック代表の水谷隼さんをネタにしたら、ご本人がXで反応して。あのときは“ヤバい!”と思いました。水谷さんに“面白かった”と言っていただいて安心したけど」

屋敷「いまは“本人に会うかもしれない”と思いながらネタを作っているけど、“どうせ俺らのことなんか気にかけてないだろう”という感覚は抜けてないんです」

――「ニューヨークのニューラジオ」で話していましたが、タイムマシーン3号のネタは老若男女に向けられているけど、ニューヨークのネタは自分たちの世代に刺さる固有名詞や作品名を取り入れてます。

嶋佐「そこはスタイルの違いですよね」

屋敷「ただ、他の芸人が自分の知らん固有名詞を出すと冷めるんです(笑)」

――自分たちが「面白い」と思うことをやろうとした結果、そうなっているんですよね。

屋敷「老若男女が笑うネタをイマイチわかってないんです」

嶋佐「だから、単独ライブも即完しない(笑)」

屋敷「東京公演はすぐに埋まって、追加公演もやるのに(笑)」

嶋佐「まだ地方の方にわかってもらえないんです(笑)全公演満員になって、1万2千人来てくれるとうれしいです」

屋敷「昨年は1万人来てくれたから、チケット代だけで6000万円。配信を含めたらもっといったわけでしょ。ありがたいですよ」

(後編につづく)

ニューヨーク
左・嶋佐和也(しまさ かずや)。1986年5月14日生まれ、山梨県出身。
右・屋敷裕政(やしき ひろまさ)。1986年3月1日生まれ、三重県出身。
2010年 1月に結成。2019年12月、『M-1グランプリ2019』決勝に進出。『キン
グオブコント2020』で準優勝。『ラヴィット!』(TBS系テレビ)木曜レギュラー、
『ジョンソン』(TBS系)主演中。

ニューヨーク単独ライブ
『そろそろ、』

前売 6000円/高校生以下学生料金 3000円
[宮城公演] 電力ホール
7月30日(火) 18:00開場/ 19:00開演
[福岡公演] よしもと福岡 大和証券劇場
8月3日(土) 13:00開場/ 14:00開演
17:00開場/ 18:00開演
8月4日(日) 13:00開場/ 14:00開演
[大阪公演] TTホール
8月8日(木) 18:00開場/ 19:00開演
8月9日(金) 13:00開場/ 14:00開演
18:00開場/ 19:00開演
[東京凱旋公演]有楽町よみうりホール
8月15日(木) 18:00開場/ 19:00開演
8月16日(金) 13:00開場/ 14:00開演
18:00開場/ 19:00開演__