「80年代デビュー組なのに、歌手としての活躍は90年代になってから」それも私らしい

 つらさを隠しながらバラエティ番組で奮闘していくうち、少しずつ歌うチャンスにも恵まれるようになっていった。仕事が忙しくなるとそれに反比例するように、同世代のアイドルたちへのうらやみは消えていったという。

「はじめは、顔と名前を覚えてもらうという目標で頑張っていましたが、それをクリアすると、もやもやした気持ちを抱えながら活動していました。でも、歌う機会やバラエティなどのレギュラーが12本まで増えると、忙しさに紛れて気持ちも晴れていきました。
 またバラエティのお仕事で忙しい間も、マネージャーやキングレコードのスタッフの方々が、ずっと私の歌を信じてコンスタントにレコードを制作させていただけていたことは心の支えでした。80年代には80年代にしか作れない音楽があるし、それを残せたことは本当によかったです。尊い宝物です。
’91年、劇場版アニメ『機動戦士ガンダムF91』の主題歌『ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~』を歌わせていただいたことで、すべてが吹っ切れたと思います。初めてオリコンウィークリートップ10入りして、この曲のおかげで『NHK紅白歌合戦』に初出場できコンサートツアーにもつながって、やっと同期の皆さんと同じスタートラインに立てたと思いました。
 80年代にデビューしたアイドルの皆さんは、デビューしてすぐにブレイクするんですが、私は6年もかかってしまいました。80年代デビュー組なのに、歌手として忙しく活動し始めたのは90年代になってから。それも私らしいなって思いますし、いまとなっては、当時の鬱屈(うっくつ)した感情も大人になるための財産だなって思います」