「ずっと悶々(もんもん)としていた」高校時代

『きみの色』の登場人物に、激しく共感したやす子さん。高校時代の自分に似ている彼らが、その感情をあらわにするシーンは、特に印象深かったようだ。

「『きみの色』は自分の気持ちを素直に言えない子たちが感情を爆発させるシーンがいくつかあるんですが、高校生のときの自分が見たら、ぶっ刺さっていた気がしますね。ただ、大人になってから見たことで、当時の自分を客観視できている自分もいました。あのときは人生が終わるぐらい大きなことに思えていたけど、いま思うと、それほどたいしたことじゃないなぁと」

『きみの色』では、メインのトツ子、きみ、ルイの理解者としてシスター日吉子(声・新垣結衣/36)が登場する。やす子さんの高校時代には、日吉子のような大人はいたのだろうか。

「それがいなかったんですよ。ずっと悶々(もんもん)としていた気がします。そのときは大人は全員、敵だ! ぐらいに考えていましたから。いま思うとイタいんですけど。だから、シスター日吉子みたいな人がいたらよかったな、とは思いますね。
 ただ、いま考えると、大人は子どもにいやな思いをさせてやろうと思って縛りつけていたりしたわけじゃなくて、ちゃんと愛情としてそういうことをしていたんだなって、思いますね。高校生のときにこの映画を見ていたら、自分の考えももっと早く変わっていたかもしれません」