2020年は大きなターニングポイントだった

 今回の映画では北村さん演じるビリーがしんちゃんたちと出会ったことで大きな変化(成長)を遂げたが、北村さん自身にとって大きな変化を伴う出来事と言ったら?

「僕は音楽も俳優もやっているので、それぞれにターニングポイントはあるんです。でも、ここ最近で言うと2020年ですかね。この年はコロナ禍で仕事が何もかも無くなって……。それまではもう、がむしゃらに走り続けてきたんです。その仕事が休みになった期間に、俳優として、アーティストとして、人間として、今後どう生きていくかをすごく考えた期間でした。ドラマの『鈴木先生』が俳優としてのひとつのターニングポイントで、他にも、2つ、3つあるし、アーティストとしても2つ、3つあって、それらがギュッとまとまったのが、2020年だったのかなって思うんです。その時間が止まった感覚になった時に、すごく当たり前のことに気付けたというか。“太陽が眩しい!”みたいな、そういう当たり前のことを大事にする様になってきました」

──つまり、自分を客観的に見れるようになった?

「そんな感じですね。それまでは、周りを見る余裕もなくて、ほんと主観でしか生きられてなかったというか。でも、その期間に客観的に “こう生きよう!”という発見がありましたね。それが、音楽だったら目の前にいる人に言葉をなぜ授けるのか、なぜ届けるのかということだったり、俳優としてだったら他の共演の俳優さんと現場で作り上げる瞬間を大事にすることだったり、そういうことに繋がっていったんです」

 プライベートでは現在26歳。いわゆるアラサーだ。

「30代になるのがすごく楽しみなんですよ。11歳の時に、早く二十歳に成りたいって言っていたんですけど、その感覚に近いところがあるんです。下の世代が出てきて、そこに対しての焦りというよりワクワクがすごくあるんです。というのも、僕は子供の頃から先輩に囲まれて生きてきたので、先輩の存在がメチャクチャ大きかったんです。これからは多くの後輩との出会いがあるだろうし、そういった出会いを大事に出来る30代になりたいと思っているんです」

──後輩から刺激をもらう?

「もちろん、刺激をもらい続けると思いますけど、こちらもちゃんと刺激を与え続けられる先輩でいたいなって。ここからは、そういう存在のための準備の4年間だと思いますね」

 来年度前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』の柳井嵩役で朝ドラ初出演が決まっている北村さん。今後も様々なステージで邁進し続ける姿から目が離せない。

(了)

北村匠海(きたむら・たくみ)
​1997年11月3日、東京都生まれ。2008年公開された映画『DIVE‼』で映画デビュー。2009年に放映された『太陽と海の教室』でテレビドラマ初出演を果たす。2017年に公開された映画『君の膵臓を食べたい』で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめとする数々の新人賞を受賞。近年の出演映画に『とんび』、『法廷遊戯』、『東京リベンジャーズ』シリーズ、声の出演では『ぼくらの7日間戦争』、『かがみの孤城』、ドラマでは『星降る夜に』、『アンチヒーロー』などがある。

【作品情報】
『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』
原作:臼井義人(らくだ社)
監督:佐々木忍
脚本:モラル
声の出演:小林由美子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ、真柴摩利
ゲスト声優:北村匠海、オズワルド
主題歌:My Hair is Bad『思い出をかけぬけて』
公開中
配給:東宝
🄫臼井義人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2024
■映画公式 HP:https://www.shinchan-movie.com/