同じ書籍が3度も出版される奇跡

 お話を伺ったのは「ペット霊園 ソウルメイト」東京分室の入口近くにある小部屋。清潔感のある白い壁が印象的な空間だった。部屋の中には棚が置いてあり、そこには横田さんの著書『ありがとう。また逢えるよね。~ペットロス 心の相談室~』も置かれていたーー。

「この本は、もともと四季社から2008年に刊行されたのですが、その出版社が倒産して残念ながら絶版になっていました。その後、縁あって2013年に双葉社から刊行していただいたのです。時が経ち、この本も品切れとなっていたのですが、2020年に私が『坂上どうぶつ王国』(フジテレビ系)という番組に出演し、その反響が大きかったことで、放送後にリニューアルしてもう一度出版されたのです」

 同じ内容の書籍が実に3度も出版されるというのはかなり稀なケースだが、穏やかな表情を崩すことなく、これも「ご縁」だと言う。『坂上どうぶつ王国』は、ゴールデンタイムの全国放送ということもあり、ペットロスについて、そして横田さんの著書について、多くの人から問い合わせがあったという。

「番組スタッフの方には何度も足を運んでいただきました。密着取材だけではなく、私が幼い頃に経験した悲惨な出来事も取り上げて、再現VTRまで作っていただいたのです。視聴者のほとんどが動物好きであり、ペットの死と向き合った経験のある人も多かったのでしょう。私の著書を購入したいという方もたくさんいらっしゃったんです」

 横田さんは10歳の時に深刻なペットロスを経験したが、その辛さを周囲の人にわかってもらえなかった。ペットロスのことを多くの人に理解してもらいたいという思いから、僧侶となってからは「動物のお坊さん」としてメディアからの取材も積極的に受けているという。

「私は僧侶になる前に広告代理店で働いていました。動物保護の活動やペットロスのことをもっと知ってもらいたいと思い、メディアに携わる仕事をしようと考えたのです。そのご縁もあってか、地元のニュースや情報番組、新聞や雑誌に何度か取り上げていただきました。

  じつは『坂上どうぶつ王国』に出させていただく前に、志村さんの番組でも取材していただいたことがあるんです。残念ながら放送されることはありませんでしたが、何度か取材に来ていただき、私の仕事を見てもらえました。その後、坂上さんの番組に出られたことも、書籍をリニューアル刊行できたことも動物たちが繋げてくれた縁だと思っています」

 志村さんの番組というのは、『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)のことだ。2004年に放送が始まり、その後16年間続いた長寿番組だった。MCを務める志村けんさん(享年70)が2020年3月に逝去され、その後番組も終了した。

『天才!志村どうぶつ園』は放送されなかったが…

「志村さんの番組では放送には至らなかったのですが、このことが坂上さんの番組へ出演する布石となったのかもしれないと思っています。 

 志村さんや坂上さんの番組は動物をテーマにしたものですから、これまで出させていただいた番組とは視聴者の動物への関心度がまったく違うんです。スタッフさんの熱量も高く、しっかりと取材していただきました。結果的に『坂上どうぶつ王国』で取り上げていただき、ペットロスのことを多くの人に理解してもらうことができたんじゃないかと思っています」

 動物の死と真摯に向き合い、多くの動物たちの命を看取ってきた横田さんは、実際に僧侶となった現在も、亡くなった動物たちを供養し、お経をあげ、ペットロスに苦しむ人の心のケアを行なっている。

横田 晴正(よこた はるまさ) 
1971年生まれ。東京都出身。27歳で出家し、2001年に新潟県長岡市でペット霊園ソウルメイトを設立。2013年に東京都杉並区に東京分室を開室。ペットのお坊さんとして葬儀・火葬・供養・パラカウンセリングを行い、人のお坊さんとして曹洞宗長福寺の壇務を行なっている。『坂上どうぶつ王国』(フジテレビ)をはじめ、多くのメディアに出演。ペットロスをテーマに、人と動物との絆について講演、執筆活動を続けている。著書に『ありがとう。また逢えるよね。~ペットロス心の相談室~』がある。