「動物のお坊さん」として多くのメディアに取り上げられている横田晴正さんは、曹洞宗長福寺の住職である。横田さんにとっての「THE CHANGE」、人生の転機にはいつも動物がいた。
10歳の時の愛猫との死別、小中学時代の壮絶ないじめ、動物園が繋いだ運命の出会い、過酷な修行後の臨死体験…、動物との不思議な縁がもたらした数奇な出来事を経て、動物の死と向き合い続けているーー。 

撮影/双葉社THECHANGE編集部

 僧侶の法衣姿で現れた横田さんは、朗らかな笑顔で取材に応じてくれた。場所は都内にある「ペット霊園 ソウルメイト」東京分室。ここで、亡くなった動物たちを供養し、お経をあげ、ペットロスに苦しむ人の心のケアを行なっている。

動物園に導かれた動物縁

 東京でもペットの葬儀や供養をして欲しいという声に応え、2013年に実家のある杉並に東京分室を開いたが、「ペット霊園ソウルメイト」は新潟県長岡市の長福寺にあり、普段は住職としてそこで壇務を行なっている。

「長岡の長福寺は私の妻の実家です。妻との出会いが私を僧侶へと導いてくれました」

 高校卒業後(1年の浪人を経て)、動物園のそばにキャンパスがある大学に進学し、入学して間もなく運命の出会いをする。まさに“動物縁”だったという。

「たまたま大学の近くに動物園があったのではなく、動物園が近くにあったからその大学を選んだのです。動物園でアルバイトをして、お金を貯めて将来は動物保護の活動で海外に行くつもりでした。ここで妻と出会ったのも、動物に導かれたものでしたし、彼女の実家がお寺であったこともご縁だったと思っています。

 とはいえ、すぐに僧侶になった訳ではないのです。妻には兄弟がいましたし、私がお寺を継ぐなどという考えはまったくありませんでした。大学卒業後はペット用品の会社に就職しました。海外で動物保護の活動をしたいと考えていましたが、世界の動物を救う前に、まずはペット業界を内側から変革したいという思いもあったのです」

 結局、この会社では5年間働いた。そして、曹洞宗のお寺である奥様のご実家に帰省した時に人生の転機が訪れる。「THE CHANGE」と言うにふさわしい出来事だった。

奥様の実家のお寺を継ぎ僧侶に

「私は幼い頃に愛猫が虐待されて死に至るという悲痛な体験をしました。さらに菩提寺の和尚さんから“動物にあげるお経はない”と言われてしまい、このことをきっかけに、動物たちの命を看取り、自分なりの方法で弔ってきました。お盆休みで妻の実家に帰った際に、義父にこれまでの体験を語ったところ、そういう人間が僧侶になった方が良いと言われたのです。

 ペット用品の会社で5年働き、そろそろ次のステップに移ろうと思っていた時期でもあったので、僧侶になることを真剣に考えるようになりました。妻にも話しましたが、お寺の苦労をよく知っていたのでしょう、サラリーマンの妻で良いと反対され、結局広告代理店に転職しました。しかし、義父の言葉が頭から離れず、妻もそのことに気づいていたようで、私が僧侶になることを認めてくれました。1年後に会社を辞め、僧侶になるための修行に出たのです」 

 動物とのさまざまな“ご縁”がつながり、僧侶としての道を歩み始めた横田さんは、その後、『ありがとう。また逢えるよね。~ペットロス 心の相談室~』(四季社)という書籍を出版し、ペットロスのことを多くの人に理解してもらうため、「動物のお坊さん」としてメディアからの取材を積極的に受けるようになったという。