バラードの名曲『大きな玉ねぎの下で』、青春ソングの定番『Runner』や夏と言えば『リゾ・ラバ-Resort Lovers-』など80年~90年代にかけて多くのヒット曲を音楽シーンに送り出した爆風スランプ。そのボーカリストであるサンプラザ中野くんは、早稲田大学出身でスキンヘッドにサングラスという特徴のある見た目で、テレビタレントとしても活躍。今年でデビュー40周年という節目を迎えた爆風スランプ。人気バンドのフロントマンとして活躍した中野くんの人生の転機とは?【第5回/全5回】

サンプラザ中野くん 撮影/松野葉子

 いまの爆風スランプの等身大の姿が詰まった新曲『IKIGAI』。この力強い言葉はどこから生まれたのだろうか。

「俺が『IKIGAI』っていう言葉に出会ったのは、去年くらい。たまたま『Netflix』で、長寿のドキュメンタリー映画(『100まで生きる:ブルーゾーンと健康長寿の秘訣』)があって、観てみたんです。そこに出てきた沖縄の老人たちが、すごくみんな生き生きと働いていた。地域コミュニティや仲間同士のつながりも強くあって、“この人たちは生きがいという言葉を持っています”って言うんです。日本に限らず、長生きをしている人たちにとって、“生きがい”って、すごく重要な言葉だって結論付けていた。
 しかも、日本発の言葉として『カワイイ』や、『もったいない』と同様に国際語化しているって言うんです。われわれの世代って、どうしても高齢化社会の中で生きるって大変なんだっていうことを刷り込まれてきたじゃないですか。しかも老後資金はいくら必要とか、お金を稼いで金持ちになるのが人生のテーマのようになっている。でも生きがいってそうではないよなって、改めて思い知らされて目からうろこが落ちた気がしました」