イギリスでバンドメンバーが見つけたカフェの名前にも「IKIGAI」

 さらに、「IKIGAI」を通じた不思議な縁が続いたという。

「それでバンドのメンバーに“生きがいをテーマに曲を作りたい”って説明したんです。そうしたら、末吉さんがイギリスに仕事で行ったときに、“すごいものを見たぜ”っていうメールが送られてきた。そこには“IKIGAI CAFE”っていう名前の店があったんですよ。本当に国際化した言葉なんだって気づいて。末吉さんが、そのカフェに突撃訪問をして、“どうして“IKIGAI”っていう店名なのですか”って尋ねた。
 そうしたら、香港人のオーナーが、沖縄出身の友人から生きがいという言葉を教えてもらったって言うんです。それでこれは素晴らしい言葉だと店名にした、と。末吉さんが“カフェのオーナーである彼にとっての生きがいはコーヒーと、パンを作ってみんなに喜んでもらうことだって言っていたで~”って教えてくれました(笑)。末吉さんもそれがきっかけで、やる気になって作曲をしてくれましたね」

 ファンクを基調とした極太サウンドが鳴りひびくハードなナンバー『IKIGAI』。とても還暦を迎えたメンバーがいるバンドの楽曲とは思えない作りになっている。

「この楽曲は攻めましたよね。俺も、世間からしたら“爆風スランプの新曲って『大きな玉ねぎの下で』か『Runner』のどちらかでしょ”ってみんな思っているんじゃないかなって考えていました。そんななか、“これでいいのかな”と迷いながらも、新曲を聴いて

「演奏はうまくできると思うんですけれど、いわゆるギャングラップみたいなノリじゃないなって気づいた。HIPHOPかいわいの人たちは、この曲をどう受け取るのかなっていうのは俺らも楽しみです」

爆風スランプ26年ぶりの新曲『IKIGAI』ジャケット。サザン関口和之氏の描き下ろし