HIKAKINのマネージメントは総務業務そのものでした

 光通信をやめてから、どうしようかなと考えていたときに、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社の創業者で投資家の孫泰蔵さん(孫正義氏の弟)に、「起業したら?」と言われたんですね。でも起業したからといって仕事はないので、ニートみたいなことを繰り返しながら、ガムシャラに試行錯誤していたら、HIKAKINと久々に再会したんです。
 そしたら「これからハリウッドスターじゃなくて、YouTubeスターが日本にも来るよ」って、2012年ぐらいに言われて。で、HIKAKINが困っていることがあるというので、「じゃあ、手伝うよ」と話をして、それを泰蔵さんに報告に行って「やりたいことができました。こういう人たち(YouTuber)がいるんですけど、会社を作って彼らのサポートをしてみたいんです」と話したんです。すると泰蔵さんは、何かにチャレンジすることに対して、すごく背中を押してくれて。今の私があるのは、光通信やUUUMがあったからということは間違いないし、そのUUUMを作るきっかけとなってくれたのは、この2人であることは間違いないので、泰蔵さんとHIKAKINの2人との出会いが私の転機なのかもしれませんね。変な話、UUUMで最初にやったHIKAKINのマネージメントは、光通信でやっていた総務業務、そのものだったんです。

――では、鎌田さんだけが知るHIKAKINのエピソードなどはありますか。

鎌田和樹(かまだ かずき) 1983年東京都生まれ。2003年、19歳で大手通信会社「光通信」に入社し、総務、営業など多岐にわたる分野での好成績が認められて携帯電話の販売を任され、最年少の執行役員に。その後、日本のYouTube界のパイオニアHIKAKINとの出会いを経て、2013年、クリエイター(YouTuber)のマネージメント・サポートを中心とする「UUUM」の前身となる会社を立ち上げる。2023年8月、広告事業などを手掛ける「フリークアウト・ホールディングス」との資本提携を発表。株式公開買い付け(TOB)により、鎌田氏は保有株をすべて売却し、9月15日付で取締役会長を退任した。同時に名誉顧問に就任し、後に卒業。8月28日、単独での初の著書となる『名前のない仕事』(ダイヤモンド社)を上梓した。