時代の寵児となったHIKAKIN(ヒカキン)とともにYouTube(ユーチューブ)界のトップを走り続け、2023年8月、TOB(株式公開買い付け=Take Over Bid)で会社を手放した元UUUM(ウーム)会長の鎌田和樹氏。現在、新たなる事業に向けて「究極の種蒔き期間」を過ごすカリスマ起業家に、直撃インタビューを敢行。HIKAKINとの出会いから知られざるUUUM以前、これまでの人生のチェンジ=転機、気になる著書『名前のない仕事』(ダイヤモンド社)の内容、そしてYouTubeやTikTokの今後まで、とことん語っていただいた!

鎌田和樹氏 撮影/小島愛子

サポートしたい人が目の前からいなくなってしまった

――鎌田さんはこれから、どう過ごされる予定でしょうか?

鎌田:次のビジネスの展開も考えたいとは思っています。ただ、TOB、株式を売却後は一定の期間、制限などがあるので、私自身が動きやすくなるのは来年の9月、約1年後ぐらいなんです。だから今すぐ、このビジネスを立ち上げたいという気持ちはないんですね。
 去年、株を売った後は、すぐに仕事をしようとか、次のビジネスを考えていこうという気持ちにはならなくて。人間誰しもが働かなければならない、世の中においてお金を稼がなければならないっていうのがあるかもしれないですけど、普通の人が得られるものより、もしかしたら大きいお金を手にした。お金を手にしたタイミングで、なんかこう働く意義みたいなものが、どんどん自分の中で削られていくような感じがしたんです。
 会社から卒業することによって、サポートしたい人が目の前からいなくなってしまったので、どうしたらモチベーションが上がるんだろうかと、けっこうな時間を使って考えたんです。僕の中で楽しいと思うことは、たとえば、いい食事をしたいとか、いいワインを飲みたいとかではなくて、それよりは誰かの役に立ったときに限りなく自分のモチベーションが上がるし、「これ困ってんだけど」って言われたら、そういうのを解決したくなるんですね。
 もともとUUUMという会社はHIKAKINが困っていて、それをサポートしていたら出来上がった会社ですし、事務所の社長になってからも、仕事はトラブルシューティングなどがかなりのウェイトをしめていたので、今後も必要とされるとか、そういったことが自分の原動力になっていくんだろうなっていうのは、間違いないことだと思います。
そういう機会にも、またきっと出会えるだろうし、それまでは無理して動くことも、しないかもしれないですね。