数々のドラマや映画に加え、バラエティや情報番組のMCなど、さまざまな分野で活躍している小泉孝太郎さん(46)。2002年に俳優デビューして以来、その爽やかなルックスと物腰柔らかな印象で数多くの視聴者を魅了してきた、小泉さんにとってのさまざまな「THE CHANGE」とは。【第1回/全4回】
この日のインタビュー取材後には、映画の完成披露舞台あいさつが予定され、さらに午前中はドラマの撮影と、まさに多忙を極める。だが、そんな疲れを一切見せずに、スタッフ一人一人に笑顔であいさつをする小泉さん。出演する最新映画『愛に乱暴』(8月30日公開)は、『悪人』などで知られる吉田修一氏の小説が原作のヒューマンサスペンスだ。
本作で小泉さんは、妻・桃子に隠れて若い女と不倫をしている夫・真守を演じた。妻への冷ややかな態度や、虚空を見つめ何を考えているのかわからない表情など、これまでの明朗快活で清廉―といった、好青年然としたパブリックイメージを払拭している。
「真守に対しては、多くの女性がはっきりとした意見を出すんじゃないかなと思っていて、“みなさんはこの男のことを一体どう思うんだろう” と、個人的にすごく興味深いんです」
――真守のことを“人間の見えやすい感情さえも隠れてしまうような独特な男です”と仰っていましたが、そのほかに真守という人物をどのようにとらえましたか?
「この作品は “X=何”といった明確な答えが出るような映画ではないと思うんです。たとえば、すごくハッピーエンドだったり、“こうして事件が解決しました”といったりする終わり方の作品ではない。ただ、真守は真守なりに桃子との夫婦生活をずっと我慢し続けてきたので、ひとつの見方をすると、忍耐強くてがまん強い男だなと思いました。
その一方で、きっと多くの女性の方からすると“ずるい男だな”と思われるところがあるんですよね。そういう真守のことを“最低”と思う人もいれば、“桃子も桃子で、彼女にも責任はあると思う”という人もいるかもしれません。その辺の真守に対する答えは、僕も気になっているところです」