よこじまのハンカチをたてじまにーーでお馴染みの手品師・マギー司郎さん。ゆったりとした茨城なまりのしゃべりで振りまく愛嬌が心地よい78歳は、現在も現役真っ只中で舞台に立ち、よこじまをたてじまに変えている。もうすぐ60年目に突入する芸歴の中に、一体どんなTHE CHANGEがあるのだろうか。【第3回/全5回】

マギー司郎 撮影/有坂政晴

 1968年、正統派マジシャンのマギー信沢に入門、"マギー一門”の一員となったマギー司郎さん(78)。現在一門は、正統派マジックを行う妹弟子のマギー瑠美さんのほか、マギー審司さんをはじめとするマギーさんの弟子総勢10人の弟子を抱えている。が、弟子にもかかわらず「ネタを教えたことがない」というのだ。

「教えたことがないというか、教えられないんですよ。教えるほどのことをやっていないのでね。僕はマジックはちょっとはできると思うんですけど、途中でめんどうくさくなったのかよくわからないけど、テクニックとかは使わないんですよね」

 マギーさんのマジックといえば、「縦縞のハンカチを横縞にする」や「コシヒカリをササニシキに変える」など、正統派マジックとは一線を画す。たしかに、テクニック云々ではない。

「人間って、自分が不得意な方向にはいかないようになっていますからね。みなさんに喜んでいただけるのは、“縦縞のハンカチを横縞にする”ですが、これ、ハンカチを持ち替えているだけなので、手品じゃないんですよ」