ミュージカルシーンは宮澤エマとふたりでアドリブ!?

──あはは! それは、本編もですが、撮影現場もかなり面白そうですね。

「面白かったですよ。結構大掛かりだったんです。補助する人もいて。僕を一回遠くにやって戻すんです。西島さんとか、相当笑っちゃって。小林さんも“戻ってこい!”とか言いながら笑ってるんですよ(笑)」

──テキストだけで見ている人は、「ハットリくん? どういう状態?」とハテナが浮かんでいるかもしれませんが、映画館で確認して笑ってもらいましょう。そして瀬戸さんには、ラストの全員でのミュージカルシーンでも笑わせてもらいました。

「あれね、もう小磯じゃないですよ。僕、実は二役やってるんです。最後、小磯どっか行っちゃってますから」

──個人的に本作を試写会で拝見したのが、ドラマ『くるり~誰が私と恋をした?~』(TBS系)を見た直後だったので(『くるり』で瀬戸が演じたのは、フラワーショップの店長であり、ヒロイン・生見愛瑠との恋をする役)、「瀬戸さん、さすが!」と拍手してしまいました。

「(笑)。みんなにはちゃんとダンスの振りがついてたんですけど、僕と(宮澤)エマちゃんは、“お好きにやってください”って放っておかれたんです(※三谷幸喜作・演出ミュージカル『日本の歴史』で共演)。“もうふたりはやれるよね”みたいな感じで」

──三谷さんも、瀬戸さんと宮澤さんのおふたりのことを、最近の三谷さんのテイストを一番分かっている俳優さんだと、とても信頼しているそうですね。そして、あのミュージカルシーンのおふたりについて、「思っていた以上に素晴らしかった」と、コメントされてました。

「力強さとトリッキーさで行こうと、フリースタイルで自由に踊らせてもらいました(笑)」

 三谷さんとは、舞台『23階の笑い』、『日本の歴史』、『笑の大学』、そして脚本を担当したNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演してきた瀬戸さん。映画作品は初となったが、三谷監督からの信頼が伝わるとともに、その期待に十二分に応える瀬戸さんの水を得た魚のような姿に、やはり脱帽してしまう。

瀬戸康史 撮影/有坂政晴

せと・こうじ
1988年5月18日生まれ。福岡県出身。’05年にデビュー。’08年には平成仮面ライダーシリーズ『仮面ライダーキバ』(テレ朝系)にて主演を務め、同年、ドラマ『恋空』(TBS系)でも主人公を演じた。舞台『関数ドミノ』(2017)で第72回文化庁芸術祭演劇部門新人賞、映画『愛なのに』(2022)で第44回ヨコハマ映画祭主演男優賞受賞。近年の主な出演作に、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、ドラマ『くるり〜誰が私と恋をした?〜』(TBS系)、映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』(2022)『違国日記』(2024)など。現在、三谷幸喜が5年ぶりに監督を務めた映画『スオミの話をしよう』が公開中、堤真一と初共演で挑む舞台『A Number―数』が上演中。
ヘアメイク:小林純子
スタイリスト:田村和之

●作品情報
映画『スオミの話をしよう』
監督・脚本:三谷幸喜
出演:長澤まさみ、西島秀俊、松坂桃李、瀬戸康史、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎、戸塚純貴、阿南健治、梶原善、宮澤エマ
製作:フジテレビ 東宝
配給:東宝