ドラマ『くる恋』の公太郎さん役では、老若男女に胸キュンを巻き起こした

 現在は、特別に体重を気にする必要はなかっただろうキャラクターを演じている映画が公開中。三谷幸喜さんが『記憶にございません!』(2019)以来、5年ぶりに監督を務めた、長澤まさみさん主演の『スオミの話をしよう』だ。

 三谷監督らしい、芸達者な俳優たちによる会話劇が光るミステリーコメディだが、瀬戸さんは、西島秀俊さん演じる警察官の部下役で、愛らしさを放ちながら存分に笑いのパートを担っている。

 三谷作品における瀬戸さんといえば、端正なルックスはそのままに、まだ記憶に新しい大河ドラマ鎌倉殿の13人』における“トキューサ”こと時房や、舞台でも「笑いを託せる」役者として存在する。

「そうですね。三谷さんには完全に“笑い”を求められてますね。ほかでかっこいい役とかやると、三谷作品でのフリになっちゃうくらい(笑)。なんだろうな。その場をちょっと盛り上げるとか、僕みたいなのを投入して、ギクシャクしすぎないようにするとか。あとは、何をやっても憎めないみたいな役どころを渡してくれますね」

──“フリ”というお話がありましたが、それこそ今年は、めるること生見愛瑠さん主演のドラマ『くるり〜誰が私と恋をした?〜』(TBS系)での西公太郎さん役も本当に大評判で、もともとの瀬戸さんのファンはもちろん、新たなファンが増えたなという実感を覚えざるをえなかったのでは?

「たしかにInstagramやX(旧Twitter)の数字にも出ましたし、ファンミーティングも明らかに公太郎さん効果があって、追加の公演をしました。だから、そういった意味でも感じざるを得ないところはありましたね。ありがたいことです。ただ、たぶん公太郎さんしか知らない方たちは、“あれ?”ってなってたんです」

──あれ? とは。

「公太郎さんと僕自身とのギャップに。僕は“こう”なので、イベントでも面白おかしいこともやったりしますし。だからイベント中も何回も言いました。“公太郎さんが好きで来たかもしれないですけどね。ごめんね。こういう一面もあるんですよ”って」

 ドラマの“大人な”公太郎さん目当てで来た新規ファンも、瀬戸さんの明るい素顔に、さらにファンになって帰っていったはずだ。そして知れば知るほど、人間ドラマにホラーや恋愛ドラマ、コメディと、さまざまなジャンルで、映像だけでなく舞台にも精力的に立っている瀬戸さんの沼にどんどんハマっていっているのではないだろうか。

瀬戸康史 撮影/有坂政晴

せと・こうじ
1988年5月18日生まれ。福岡県出身。’05年にデビュー。’08年には平成仮面ライダーシリーズ『仮面ライダーキバ』(テレ朝系)にて主演を務め、同年、ドラマ『恋空』(TBS系)でも主人公を演じた。舞台『関数ドミノ』(2017)で第72回文化庁芸術祭演劇部門新人賞、映画『愛なのに』(2022)で第44回ヨコハマ映画祭主演男優賞受賞。近年の主な出演作に、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、ドラマ『くるり〜誰が私と恋をした?〜』(TBS系)、映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』(2022)『違国日記』(2024)など。現在、三谷幸喜が5年ぶりに監督を務めた映画『スオミの話をしよう』が公開中、堤真一と初共演で挑む舞台『A Number―数』が上演中。
ヘアメイク:小林純子
スタイリスト:田村和之

●作品情報
映画『スオミの話をしよう』
監督・脚本:三谷幸喜
出演:長澤まさみ、西島秀俊、松坂桃李、瀬戸康史、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎戸塚純貴、阿南健治、梶原善宮澤エマ
製作:フジテレビ 東宝
配給:東宝