かつてはアヒル口のベビーフェイスで語られることも多かった瀬戸康史。30代も半ばとなった今、映す角度によって、さまざまなに発色してみせる豊かな俳優であることは、疑いようがない。正統派から笑いに振り切ったユニークなキャラクターまで、ドラマ、映画、舞台と異なるフィールドもスマートに行き来する、瀬戸さんのTHE CHANGEとは──。【第4回/全4回】

瀬戸康史 撮影/有坂政晴

 サイトの砂時計を手に「やっぱり自分らしさみたいなものは、絶対に捨てちゃいけないし、そもそも捨てられないものだと思うんですよね」と話す瀬戸さん。

 瀬戸さんも出演する公開中の映画『スオミの話をしよう』には、長澤まさみさん演じるスオミがこれまでに結婚してきた、さまざまな価値観を持つ5人の夫たちが登場する。

「でも結婚となってくると、自分だけじゃなくて、相手の価値観も入ってきますよね。そこをどれだけ受け止めれられるかだと思うんです。それにしたって、自分自身を捨てるわけじゃない。そのバランスが大事なんじゃないかと思います。相手に寄せ過ぎても自分が壊れるし。もちろん、相手に合わせるのが好きだという人なら、それでいいと思いますけど」

──瀬戸さん自身が大切にしていることはなんですか? まずプライベートから。

「仕事ばかりじゃなくて、ちゃんとプライベートな時間をつくることですね。年齢的にもきちんと休むことももちろんですが、体を休めることだけじゃなくて、絵を描いたり、普段とは違う頭の筋トレをすること。それが頭の切り替えにもなるし、大事かなと思います」

──では仕事を含めて、瀬戸さんにとって譲れないことは。

「仕事は、自分が好きな事しかやりません」

──おお! それは昔からですか?

「いや、さすがに昔からではないです。23~24歳くらいから自分で選ぶようになりました。もちろん事務所と話をしながらですが、最終決定は自分に任せてもらっています。たぶん、僕がやりたかったり、僕が楽しめないと、いい役、作品にならないと社長もマネージャーも分かっているので、任せてくれているのだと思います」