マネージャーから、舘ひろしさんが“あれで大丈夫か?”と…

渡辺大 撮影/冨田望

 すべてが初めての状態で、役者という仕事を掴む間もなく必死でついていったこの1年半後には、早くも大河ドラマ『武蔵MUSASHI』(NHK)に出演している。

「さらにその3年後に『功名が辻』(同)に森蘭丸役で出演したんですが、まあまあまあ……怒られましたね。織田信長役の舘ひろしさんが“あれで大丈夫か?”と言っていた、というのをあとでマネージャーから聞いた記憶があります(笑)」

ーー舘さんの「あれで大丈夫か?」、怖いですね……。

「当時は、いまよりもっと舘さんご本人もイケイケでしたし、野心あふれる役柄の舘さんに追いつくのに、とにかく必死でした。なにがダメでなにがいいのかもわからない状態で、とにかくやるだけのことをやるしかないんですけど、そういった中で右往左往していた……というのが、10代から20代前半でしたね」

 昨年、『あきない世傅 金と銀』(NHK BS)で当の舘さんと久しぶりに共演した。

「なんだか恥ずかしかったですね。“大丈夫か?”はご本人に直接言われたわけではないんですが、今でも会うとちょっとヒヤッとします、緊張します(笑)」

「たしかに今の僕が10代の自分を見たら、“大丈夫か?”と言いたくなるだろうな、という気がします」と笑う渡辺さんを見ていると、人知れず人にはそれぞれの歴史があるのだ、という当たり前のことを実感してしまうのだった。

わたなべ・だい
1984年8月1日生まれ、東京都出身。2002年、父・渡辺謙の青年役で『壬生義士伝~新選組でいちばん強かった男~』(テレビ東京系)でデビュー。以降、ドラマ、映画にて現代劇から時代劇までコンスタントに出演を重ねる。2018年、映画『ウスケボーイ』でマドリード国際映画祭・アムステルダム国際フィルムメーカー映画祭にて最優秀主演男優賞を受賞。今年は『大岡越前7』(NHK BS)、『笑うマトリョーシカ』(TBS系)、『さすらい署長風間昭平SP とやま庄川峡殺人事件』(テレビ東京系)に出演。10月4日より舞台『罠』、11月22日より映画『六人の嘘つきな大学生』、25年1月10日より映画『シンペイ〜歌こそすべて』の公開が控える。

舞台『罠』
作:ロベール・トマ
翻訳:平田綾子
演出:深作健太
出演:上川隆也 藤原紀香 渡辺 大 財木琢磨 藤本隆宏 凰稀かなめ
公式サイト:https://wana-ntv.jp
公式Xアカウント:@wana_ntv

映画『六人の嘘つきな大学生』
11月22日より全国公開予定

映画『シンペイ~歌こそすべて』
11月22日、長野県にて先行公開
2025年1月10日より全国公開