高校生で時代劇に出演、父・渡辺謙から教わったことは?
ーーいつごろから俳優を意識し始めましたか?
「高校生になったときです。父から、“自分の青年時代の役をやらないか”という話があり、おかげで実際に現場に触れることができました。それまでまったく芸能界にノータッチでやってきて急に時代劇に出演でしたから、同世代で芝居や踊りをやっている人と比べたら、所作もまったくわからない状態で。着付けを知るところからスタートしました。あとは、撮影所に入ったら誰に挨拶してどんな部署があるのかなどを把握したり。とにかくこなした、という印象です」
ーー打診があったときは、ポジティブに「やりたい」という気持ちでしたか?
「なにかのきっかけになるかな、と思ってやってみたいと思いました。というのも、高校生になると野球部にも入らず、打ち込めるものがぽっかりなくなってしまっていて。一番宙ぶらりんな時期で、そういうときにお話をいただいたんです」
出演したのは2002年1月放送『壬生義士伝~新選組でいちばん強かった男~』(テレビ東京系)。緊張しながら、撮影所の門をひとりで叩いた。
「父は“行って来い”だけでした。教わったのは『貝の口結び』という着物の帯の結び方だけ。“こうやって結んで回せばOK。はい! 行って来い!”と」
ーーそれだけ!
「そうですね。うちの家族はみんなそうなんですが、親子でやるよりも、“直接現場でいろいろな人に聞いてこい”というスタンスだったんです。高校生で、新幹線で京都の撮影所までひとりで行って、1週間くらい共演する子たちと撮影所の近くの割烹屋さんの2階に寝泊まりして、すごく特別な感じがしましたね」