実は私、もともと官能的な描写が好きなんです
ーー台本を読んでみて、いかがでしたか。
「私も節々で愛情と性欲のことについて思うところがあったんですが、その葛藤や現実がASMRを通して書かれている、すごく正直な台本だなぁと思いました。
それと、例えば手掴みでナポリタンを食べるとか、住んでいないマンションの屋上に行ってしまうとか、その他にも、もしかしたらタブーとされることがいくつも書かれていて、日常の中には、こんなにもスリルが潜んでいたんだ……と、興味がそそられました」
ーー本作のテーマ、その"ASMR”とは何ですか?
「例えば咀嚼音だとかのように、聴くとリラックスしたり気分が良くなったりする音のことなんですけど、それを動画配信する謎の女性・明葉の役なんです」
ーーそんな“さまざまな音”に魅了された男性・守屋と、だんだん深い関係になっていくんですよね。
「官能的ですよね。でも、実は私、もともと、そういう官能的な描写が好きなんです(笑)。官能小説というより性愛小説っていうんですかね。中学生のときに『葉桜の季節に君を想うということ』という小説に出会ってから」
ーーそれって、性愛というよりミステリー小説ですよね。歌野晶午さんの。
「はい。“射精したあとは動きたくない”というセクシーな描写から始まるんですよ。そこから始まっていくミステリー小説なんですが、たまに入る性の描写から目が離せなくて。それまで私、あまり読書をしたことがなくて、だいたい途中で挫折しちゃってたんですけど、その本が初めて読み切った小説だったんです。ドキドキしながら読み終えましたね」
ーーそうなんですね。ちなみに今回、演じた明葉って、どんな女性だと思います?
「最初は母性にあふれ、奔放で夢のような女性なのかなって思いながら演じていくうえで、これはどこまでが本心で、どこまでがパフォーマンスなのだろうと考えるようになりました」
ーー演じるうえで心がけたことは?
「私のラジオ番組を聴いてくださっていた吉川鮎太監督から“あの、おっとりしたしゃべり方でいてください”というアドバイスをいただいたので、それは生かしたいと思いました。
それと、守屋にとっては母親のようであり、欲望もかなえてくれる女神のような存在だと思ったので、女性のありのままの部分を出さない、悟られないように、ということを意識しましたね」
ーー今回はラブシーンがありましたね。
「そうなんです。やっぱり緊張しましたね。もちろん、撮影前には歯磨きしましたよ(笑)」
ーーそれから、劇中の「恋愛なんて、ただの知識欲の延長」っていう明葉のセリフが印象的でした。
「最初に台本で読んだときはピンとは来なかったんですけど、明葉として過ごして、このセリフを言ったとき、“ハッ!”としました。この映画に出演してからは知識欲よりも快楽のほうが誠実なのかもしれないって(笑)」
染谷有香(そめや・ゆか)
1992年1月17日、千葉県生まれ。O型。T175-B92(G)W60H88。2011年にドラマ『華和家の四姉妹』でデビュー。2013年にファーストイメージDVD『ふしだらな肢体』をリリース。以降、俳優としてドラマを中心にグラビアと並行して活躍中。
映画『SOUND of LOVE』は東京・池袋シネマ・ロサ他にて全国順次公開中。
https://soundoflove2024.com/
配給:MinyMixCreati部 (c)2024『SOUND of LOVE』製作委員会