俳優・和田正人の活躍は幅広い。朝ドラ『ごちそうさん』ではヒロインにかなわぬ片思いをする幼なじみを熱演。陸上競技の経験から『陸王』(TBS系)ではベテランマラソン選手を演じたり、箱根駅伝のゲスト解説者を務めたりしている、俳優・和田正人さんの「THE CHANGE」-転機となった瞬間に迫る。【第4回/全4回】

和田正人 撮影/小島愛子

 和田正人さんの“人生で最大の危機”についてたずねると、和田さんは「危機か……」と発してしばらく思いを巡らせたのち、「危機……いっぱいあります。何にしようかなと思って」と語り、ひと息ついて「年齢詐称がバレたとき」と挙げてくれた。

 2004年にオーディションを受け、2005年に俳優デビューを果たした和田さんだが、実はオーディション当時すでに25歳だったにもかかわらずプロフィール上は22歳と表記していた。どういった事情があったのだろうか。

「事務所に入りたくて。オーディションを受けられる年齢じゃなかったんで、何が何でもっていう思いでした。会ってももらえず、プロフィールで断られるんです。だからプロフィールさえなんとか通れば僕に会ってくれたら拾ってくれるんじゃないかなって、どっかで思ってて。

 プロフィールをごまかしたらあれよあれよと受かっちゃったみたいな……。でも、年齢詐称がバレた時は“もう、俺終わったな、クビになるな”って思いました(笑)」

 和田さんは、当時の大ピンチをどうやって乗り越えたのか。

「とにかく謝りました。俺が謝って乗り切ったっていうよりも……社長が“そこまでしてでもやりたいっていう思いはすごく買います。ただ、私たちにもそれを嘘ついてた。世間に対してだったら分かるけれども、同じ仲間である事務所の私たちにも嘘をついてたっていうのは、まだまだ信頼関係が築けてなかったのかなと思うと、非常に残念です”って言われた言葉を今でも覚えていて」と、率直に語ってくれた。