とある撮影で訪れた大ピンチ……和田さんはどう乗り越えた?

「痛いどころの話じゃなかったですよ。その時は、“マジでやばいこの撮影、どうしよう”と思って。指の骨が折れてるんで、走るどころか歩くのも痛いくらいで。『陸王』(TBS系)ってドラマのときなんですけど、誰にも言ってなくて、監督にも言えず、マネージャーと何人かの役者にしか言ってませんでした(笑)」

 ドラマ『陸王』で和田さんはベテランのマラソン選手・平瀬を演じた。第6話では、平瀬が所属チームのニューイヤー駅伝のアンカーとして、そして現役選手としてラストランと覚悟して走るシーンがあった。和田さんは足の指を骨折している状況下で、アスリートを演じるために走ったということだ。

「走った。本当に油汗かくレベルで走りました。

 もうだいぶ時間もたったので、“もういいや”と思っていま初めてしゃべったけど、その時は“本当にやばいどうしよう”と思って痛み止め飲んででも何とかもう走るしかないと、600メートルくらいを何回も走ったんですけど……。

“なんとか役に入り込めばできるんじゃないかな”と演じ、僕は実際に実業団になってすぐ辞めたんで、そこの駅伝を走れなかったんですけど、役を通してニューイヤー駅伝のアンカーを走ることができました。

 そこの景色にはお客さんもたくさんいて、実際のゴールを立ててそのコースで走った時にアドレナリンがめちゃくちゃ出てきて、最初の1回、2回走った時は痛くなかった。

 ただそこからちょっと時間を置いて別のシーンを先に撮って、“じゃあ、もう1回撮ります”ってなった時、マジで痛かった。もうアドレナリンとか消えちゃっているんだよ。あの時が一番危機を感じましたね、本当に。

 どうしようどうやってこれクリアしようって。なんとか撮影を終えてOKになって。ゴール直前のシーンなんで、本当に苦しみながら走ってるんで、それがうまくごまかせたんじゃねえかなって(笑)」

 多くの人の感動を呼んだドラマ『陸王』だったが、和田さんは知られざるピンチを視聴者にもスタッフにも分からない、すばらしい演技で乗り切ったのだ。「長く仕事を続けていきたい」と話す和田さんは10年後、20年後にはどんな俳優になっているだろうか――。(ヘアメイク:小林純子、スタイリング:田村和之)

■和田正人(わだ・まさと)
 1979年生、高知県出身。05年俳優デビュー。13年のNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』ではヒロインの幼なじみ・泉源太を演じ、視聴者から好評を博した。以降も、CX『純愛ディソナンス』や、今年公開映画『THE LEGEND&BUTTERFLY』『Winny』など、ドラマ・映画に多数出演。23年6月30日には、貫地谷しほりとダブル主演の映画『オレンジ・ランプ』が公開予定。

■映画『オレンジ・ランプ』
6月30日より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
配給:ギャガ
監督:三原光尋
主演:貫地谷しほり  和田正人 
出演:伊嵜充則 山田雅人 赤間麻里子 赤井英和 / 中尾ミエ
 39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断されたカーディーラーのトップ営業マン・只野晃一は、妻・真央と娘2人と暮らしていた。会議を忘れたり、自宅への帰り道を忘れたりしてしまい戸惑う晃一のサポートを真央はなんでも先回りしてやろうとするが、ある出会いをきっかけに2人の意識は大きく変化。「人生を諦めなくていい」と気づいていく、夫婦の希望と再生の物語。
©2022「オレンジ・ランプ」製作委員会