風間俊介さんの中の「モンスター」とは?

 そうした人間の懊悩や煩悶は「世の中にはよくあること」と言う風間さん自身が、内在する“モンスター”を見出すとしたら「遅効性な怒り、ですかね」という。

「ちょっと怒りを感じるとするじゃないですか。それを自分の中で精査するんです。ときに1時間後、ときに1週間後、半年後に精査することもあって。 “あ、やっぱり自分、怒ってるな”と感じたときに、"半年経っても怒ってるの!? 自分、怖っ!”と思います(笑)」

 たとえばお店を訪れ、理不尽な接客を受けたときなどに、風間さんの精査がスタートする。

「“ん? いまのなに?”という出来事が起きたときに精査します。すると“あれ? こっちが悪かったかな。相手も忙しそうだったし。もしかしたら、昨日すごくイヤなことがあったのかもしれない”という考えに至る。でも店を出て次の用事を済ませているときに精査すると、“いやいや、全部差し引いてもあれはちょっとだめだよ”となって。そんなとき、一瞬浮かぶんです。さっきの店に戻って、“あのー、さっきのあの言動なんですけど”と言いに行こうかなという考えが(笑)」

 自嘲気味に笑う風間さんだが、あのときガツンと言えずに悶々とするーーという経験は、多くの人が共感するのではないだろうか。

「そんな自分を振り返ると、突発的に怒る人のほうが健全さではマシなんじゃないかな、と思います……って、なんの話だったか覚えていないのですが(笑)、それが僕の“モンスター”ですね」

 自身の闇を俯瞰でとらえ爽やかに明かす風間さんだからこそ、陰影に富んだ“モンスター”を演じることができるにちがいない。

風間俊介 撮影/有坂政晴

かざま・しゅんすけ
1983年6月17日生まれ、東京都出身。1997年に芸能活動を開始。1999年、ドラマ『3年B組金八先生 第5シリーズ』(TBS系)で演じた兼末健次郎役で話題をさらい、第3回日刊スポーツ・ドラマグランプリ最優秀新人賞を受賞。2011年には『それでも、生きてゆく』(フジテレビ系)で第66回日本放送映画藝術大賞優秀助演男優賞、第70回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演男優賞を受賞し、以降、俳優として唯一無二の地位を築く。昨年12月独立し、現在はフリーランスとして活動。2024年5月1日、ニホンモニターが発表した「役者のドラマ出演数ランキング」(対象期間:令和元年~令和5年)で出演本数200本を記録、6位にランクインした。

舞台『モンスター』
作:ダンカン・マクミラン
翻訳:髙田曜子
演出・美術:杉原邦生
音楽:原口沙輔
出演:風間俊介 松岡広大 笠松はる 那須佐代子
大阪:松下IMPホール
2024年11月30日(土)・12月1日(日)
水戸:水戸芸術館ACM劇場
2024年12月7日(土)・8日(日)
福岡:福岡市立南市民センター 文化ホール
2024年12月14日(土)
東京:新国立劇場 小劇場
2024年12月18日(水)~28日(土)