国民的アイドルグループ「SMAP」から、1996年にオートレーサーへ転身した森且行。翌年デビュー戦で勝利すると、さらにその翌年、新人王に。2020年には40代にして「メンバーとの約束だった」悲願の日本一を達成。しかしそのわずか82日後、生命の危機すらあった落車事故による大ケガを負う。チェンジの連続のような人生。奇跡の復活を遂げ、現在もリハビリを続けながら“6色に彩られた星”が輝くヘルメットで走り続ける森さんが、自ら語るTHE CHANGEとは――。【第2回/全5回】

森且行 撮影/冨田望

 2021年の大ケガから、昨年、奇跡の復活を果たし、いまも現役オートレーサーとして走っている森さん。オートレーサーになることは、幼少期からの夢だった。しかし森さんは元SMAPのメンバーだ。中学時代に芸能事務所入りし、1991年にCDデビューした。

――ドキュメンタリー映画『オートレーサー森且行 ―約束のオーバル ―劇場版』からも、オートレースにかける非常に強い思いが伝わってきます。ただそうなると、語弊があるかもしれませんが、あくまでレーサーとしては、芸能活動の期間は遠回り(回り道)にはならなかったのでしょうか。

「回り道したとは全然思っていません。逆に、5人と出会えたからこそ今の僕がある。オートレーサーになれたのも、芸能界で培ったメンタルが全て役に立っていると思ってます。あの頃、5人と一緒に過ごせた時間は僕の宝です。それにタイミングがありました。僕の場合、中学卒業、高校卒業で試験が受けられていません。その時は、オートレーサーになるには身長制限があったので」

 映画本編にも、小学生のころの森さんが「これ以上、身長が伸びないようにと願っていた」と登場する。

「その規定が、僕が21歳のときに5センチ上がりました(現在はさらに改定され、身長制限はない)。試験を受ける年齢もラストチャンスだったので、勝負をかけようと、あのタイミングでの脱退になりました。でも5人といた時間は、本当に僕にとって貴重で、あの時間がなければとっくの昔にへこたれてます」