みんな、僕のことは恨んでいると思います
さらに官公庁でもマニュアルができてしまったようで、ネタにならないように淡々と冷静に対応されるようになりました。
こうなってしまうと、アポなし企画はできなくなります。そこで方向性を変えるために考えたのが、当時、まだコンビだった有吉弘行の所属する『猿岩石』がユーラシア大陸を横断するヒッチハイク企画だったんです。
有吉の他にも、番組からは、懸賞だけで生きていかれるか挑戦した『なすび』などが有名になりましたが、みんな、僕のことは恨んでいると思います(笑)。
その後は、当時の日本テレビの社長が、面白がって僕を編成部長に任命します。これは実は出世コースでもあるんです。ただ、部下を査定する業務をすると、死ぬほど頭痛がするようになりました。本当に死ぬかと思ったんですよ。そこで上司に「僕は管理職には向いていないです。部下をゼロにしてください」って頼み、“局長待遇”ということで、査定をしなくてよい立場にしてもらいました。
結局、その後も何かしらの制作に携わり続けました。テレビのゴールデン番組をやると老害になってしまうのでやりませんでしたが、VRでドラマを作ってみたり、NHKと一緒に番組を作ってみたりしました。今は豊田市でケーブルテレビの番組を作ったり蒲郡で映画を作ったりしています。とにかく「今ないもの」の新しいことの挑戦を続けています。
土屋敏男(つちや としお)
1956年生まれ 静岡県出身。日本テレビのプロデューサーとして活動。代表作は『進め!電波少年』(1992~2002)で、最高視聴率30.44%を記録した。44年勤めた日本テレビを2022年9月末で退社。現在、社外アドバイザーとして契約している。