まずは軽い気持ちででもいいので、投票へ行ってほしい

 中選挙区の時代は、お金が飛び交うなど、黒いイメージもあったかもしれません。でも現在は、公職選挙法は大きく変わっていないとはいえ、無党派層が増大し、買収で逮捕される人は激減しました。私が知る限り、保身を優先する政治家もいますが、多くは地域のため、国のため、真面目に働いている人ばかりです。

 私は選挙プランナーの仕事をする一方で、YouTubeチャンネル『選挙ドットコム』にも出演し、政治を分かりやすく、多くの人に関心を持ってもらえるよう活動しています。投票率を上げることが目的ではなく、人々の“参政意識”を高めることに重きを置くようにしています。

 例えば、オーストラリアでは投票が義務化されていて、行かない場合は罰金を課せられるんです。投票率を上げることを第一に掲げるなら、それも手ですが、日本では義務ではなく“権利”。その点は尊重すべきだと考えます。

 若い人が投票に行かない理由の一つは、「政治についてよく知らないのに、自分が投票してもいいのだろうか」という真面目な考え方なんです。18歳から平均寿命で死ぬまで、100回以上、投票するチャンスがあります。そもそも投票に正解はないし、投票をしながら詳しくなっていけばいいと思います。まずは軽い気持ちででもいいので、投票へ行ってほしいと思います。主権者として参政意識を持つ人を一人でも増やすことが、私の今の目標です。

松田 馨(まつだ・かおる)
1980年生まれ。広島県出身。2006年に選挙コンサルティング会社「ダイアログ」を創業。選挙プランナーとして、地方選挙から国政選挙まで300を超える選挙に携わる。勝率は7割超。著書に『残念な政治家を選ばない技術「選挙リテラシー」入門』(光文社)や『フルカラー図解 地方選挙必勝の手引』(選挙の友出版)がある。