相手の心を捉えて離さない瞳と、俳優歴10年超えのキャリアで着実に培った演技力。実写映画『ゴールデンカムイ』シリーズのヒロイン、アシリパ(リは小文字)役もピタリとはまり、ますます上り調子の山田杏奈さん。そんな山田さんのTHE CHANGEとは──。【第4回/全4回】

山田杏奈 撮影/松島豊

 2011年に芸能界入りした山田さん。俳優デビューは2013年、12歳のとき。多くの人が進路を決める以前から仕事をスタートしていたわけだが、仕事に対する姿勢に大きな変化があったのは「高校を卒業したタイミング」だと話す。

「一番、変化があったかなと思います。そのときにひとり暮らしを始めたんですけど、そこでやっと、“私、仕事としてこれをやっているんだ”と思い始めたんです。そこまでは昔からやっていたこともあって、習い事感がどうしてもありました。
 ひとり暮らしをして、自分の食べるご飯のお金を自分で出して、家賃を払ってということをして、すごくいい意味で“仕事なんだから、しっかりやらなきゃ”と改めて向き合い始めました」

──これまでの取材などで、高校時代に転校したとき「自分はこの仕事、俳優としてやってくんだ」という自覚ができたとお話されていますが、それが“生きていくための仕事である”という自覚が芽生えたということでしょうか。

「そうですね。それまでは実家で母の娘、両親の娘、親の保護のもとというか。それが18歳になって、ひとり暮らしをしてパキっと変わったわけではないですが、これから先、まだ分からないことですけれど、自分もまた別の1個の家庭を作り上げていく人間なんだと思ったんです。火が付き始めた瞬間だったかなと」

──おお、すごいですね。

「両親は自分よりも先にいなくなるし、ちゃんと貯金をしなきゃいけない。税金も払って、選挙にも行って。そういうことをぶわっと考え始めたのが、ひとり暮らしを始めてからだったかなと思います」