1300年以上前の『万葉集』が、いま一大ブームとなっている。社員1人の出版社の代表兼作家の佐々木良さんが、日本最古の和歌集を令和の奈良弁に訳した『愛するよりも愛されたい』が、7刷り9万部という異例のヒットを記録しているのだ。その“奇跡”を生み出した佐々木さんの「THE CHANGE」とはなんだったのだろうか。

佐々木良 写真/本人提供
佐々木良 写真/本人提供

―佐々木さんは、どうやって言葉のセンスを磨いてこられたのでしょうか。なにかCHANGEと呼べるようなことがあったのですか?

「いやいや、“言葉面白いね”とは、大人になってから言われるようになりました。そもそも、僕、27歳まで本というものを1冊も読んだことがなかったんです。27歳で初めて読んだ本は、染織作家の志村ふくみさんが書かれた『一色一生』 です。色を起点にして、生き方や生活の仕方が書かれているエッセイです。それがもうめちゃくちゃ面白くて。そこから、“本読むのめっちゃ面白いやん”となり、読みまくるという人生が始まりました」

―今まででどのくらいの冊数を読まれたのでしょうか。

「『一色一生』が面白すぎて、そこから色とか染め物に関する本を読み、そうなると歴史にも興味を持ち始めて、参考文献にある本も読みまくりみたいな感じでしたね。Amazonで買いまくって、そんなことを6年間もして購入履歴を見たら、1万冊ぐらい買っていました(笑)。本当に急に覚醒しました」