12年間「城之内博美」を演じ続けてきた
――12年の間、一人の役を演じ続けるというのもあまりないことですが、毎回どのように望まれていたのでしょうか。
「『ドクターX』って、シーズンが重なっていくごとに緊張感が高くなっていくんです。見てくださる方々に“今回はちょっと面白くなかったね”と言われないように、前シーズンよりも面白いものを作りたい。そこに対する緊張感がこの作品ではいつもありました。いくら慣れ親しんだ役とは言え、少しも気をゆるめることなく、毎年結構なプレッシャーの中で演じていました」
――シリーズが続くということは難しい面もあるのですね。
「前と同じことをやっていると“つまらなくなった”と思う方もいらっしゃいますから、これまでよりも何かしらアップデートしないといけないのですが、老舗の料理店のように “守るべき味は守る”ことも同じように大切だと思うんです。
みなさんが愛してくださるキャラクターを逸脱することではなく、ほんの少し独自のエッセンスを加えられるようなお芝居や深みを毎回意識してきました。今回も、映画になるということで特別に心がけたことはなく、いつも通りに、よりアップデートした状態で皆さんに見ていただこうという気持ちでした」
――映画版ならでは、といった撮影現場でエピソードや思い出はありますか?
「これまでとそんなに変わりはないけど、今回は米ちゃんの体調の面で少し負担が大きい撮影になっていたので、みんなで支えあっていたということですかね。
そこはこれまで放送されてきたドクターXとリンクしているところがあって、登場人物たちが大門未知子という人を支えて、その未知子にそれぞれが引っ張られるという、とてもいい相乗効果を生んできたドラマだったので、今回の劇場版は全員で作り上げてきた12年間の集大成になっていると思います」
――映画公開に向けた取材なども始まり、「これが最後ですよ」といった雰囲気になっていますが、内田さんの実感としてはいかがですか?
「周りの方々から“これが最後なんですね”と言われると、“そうか、これで終わりなんだな”という気持ちと“終わらなきゃいけないのかな”という2つの気持ちになるのですが、スタッフも含めキャストのみんながタイトルについている「FINAL」という言葉で各々、どこか自覚している気がします。
それに、撮影中は“これが最後”という空気感が一切なかったんです。最後だからみんなで頑張りましょうといつも以上に力が入ることもなく演じていたので、こうして改めて撮影を振りかえり、そして皆様の取材を受けて、じわじわと“最後”ということをリアルに感じるようになりました」