1300年以上前の『万葉集』が、いま一大ブームとなっている。社員1人の出版社の代表兼作家の佐々木良さんが、日本最古の和歌集を令和の奈良弁に訳した『愛するよりも愛されたい』が、7刷り9万部という異例のヒットを記録しているのだ。その“奇跡”を生み出した佐々木さんの「THE CHANGE」とはなんだったのだろうか。
―佐々木さんがご自身の出版社「万葉社」を立ち上げたきっかけはなんだったのでしょうか?
「32歳から作家として活動を開始していて、2冊は出版していたんですよね。で、コロナ前の時点で、あと2冊書く予定だったんですけど、コロナ禍で出版社から突然の打ち切りの連絡が来ました。フランス絵画に関する本だったので、フランスに取材に行く予定だったんです。でも、いけなくなって、収入がゼロになった時に、“これはやばい!”と思い、出版社に頼れないなら、コロナ給付金10万円を使って、自分で出版社を作ろうと思ったんです」
―よく給付金10万円で出版社を作ろうと思いましたよね。普通なら思わないじゃないですか。
「その10万円は国からもらったものなので、どうにかして世のためになる活動にできないか、と思いまして。沢山の収益をあげて、それを納税という形で返そう、と決めたんです。
コロナで苦しい人のために10万円を配ると国が言っているのに、“そのお金で会社を作ります”と言ったら非難されそうですけど、“納税で返します”と言ったら印象が良いじゃないですか。なので、1億円納税することを目標にしたんです」