下高井戸から笹塚まで全力疾走した

ーーなにがあったんですか?

「ヮタクシ、もめたんですよ。当時19、20歳の子ガキで、いろいろとやりたいことがあるからマネーがほしいじゃないですか。でも向こうからすると“それくらい自分で払えよ”って。そのときのヮタクシは“でも、あんた年上じゃん!”って言い合う感じになっちゃって、お互いに気持ちが離れてしまったの。そういう時期に、“今まで使ったお金を全部返さなかったらぶち〇す”って脅されたんだよね」

ーー修羅場じゃないですか!

「今ならこっちがぶち〇すけど、当時はいろいろと出していただいている身っていう部分に少し怖さがあったから、本当にヤバいと思って。ヮタクシそのとき、甲州街道沿いの下高井戸のあたりにあるすっっっごいボロ旅館にいたの。そこから“キャーーーーーー!”って逃げた記憶があるのよ。向こうも追ってきてたからね!? 何度も後ろを振り返りながら走ったわ」

ーー怖いですね……。

「でもまあ、19、20歳の体力に25~30歳が勝てるわけがないでしょう。全力で笹塚駅くらいまで何キロも走ったんじゃないかな。そのあたりになると人も多くなるから相手も追ってこなくなるし、どちらにしろ旅館に荷物を置いたままだったから、あとで戻りはしたんだけど。あれは子どもながらに怖い経験でしたね(笑)」

 その後は修羅場が訪れることはなく平穏な人間関係を築いたというが、その背景には「それよりも、ヮタクシが“芸能活動がしたい”というほうに気持ちが向いていたから」という理由があるという。

「オーディションを受けたりとか、目標に向けて、どうにかこう……砂の中から宝石を手探りで探すように"なんとかしなきゃいけない”という気持ちだったので、たいへんな人間関係を続けることはなくなりました」

 若さゆえの修羅場を、あけすけに話してくれるアレン様。誰もがそうした過去を持っているだろうが、そんな自分もいたからこその尊い今があるのだと、教えてくれているようだった。

 

アレン様
大物マダムタレント。生きる幻。中学時代に激しいいじめを経験し、非行に走り少年院に入院。高校に進学するも17歳で中退して上京する。19歳で初めて整形を行い、現在まで施術額は1億円を超える。2014年3月に『私の何がイケないの?』(TBS系)に出演したことをきっかけにタレントデビュー。2020年に『アウト×デラックス』(フジテレビ系)への出演で一般知名度が急上昇。近年は活動の場をSNSやYouTubeに移し、その一挙手一投足が常に話題となっている。イベントを開催すれば即ソールドアウト、最近では「アレン様の写真を待ち受けにすると幸運が訪れる」という伝説まで誕生した。

書籍『全てアレン様が正しいでございます』公式ページ
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