松本若菜の自然体な魅力の秘密は

 ここで、今度は阿部サダヲさんが、「ドラマ頑張ってください」と声をかけて通り過ぎた。即座に立ち上がり「ありがとうございます!」と恥ずかしがりつつも「嬉しい!」と言った様子で見送る松本さん。数分の間に見せた、共演者たちとのやりとりだけでも、松本さんの自然体な人柄が伝わってくる。

──バラエティ番組や松本さんを密着した映像を拝見していても伝わってくるのですが、いつも自然体でステキです。そう心がけているのでしょうか? 先輩からの影響もありますか?

「先輩方から学ぶことは本当に数多くありますね。現場ごとに学んでいます。共通しているのは役にとても真摯(しんし)に向き合っていることと、みなさん愛されていることです。最近では私も主演を務めさせていただいているので、主演ならではの皆さんへの接し方といったものは、正直、特に先輩方のマネをさせていただいています」

──例えばどんなところを。

「私が見ていてステキだなと思った方たちは、みなさん満遍なく周囲の人とお話されています。本当にちょっとしたことでもいいんです。“ちゃんと寝てる?”とか“髪の毛切った?”とか。私自身、名前が全く出ていないようなときにも、先輩方からそうやって声をかけていただくとめちゃくちゃ嬉しかったですし、名前を呼ばれたときは飛び上がるほど嬉しかったです」

──ちゃんと名前を呼んでもらえるのは嬉しいですね。

「覚えていてくださったんだと。そうした気持ちは、きっと私だけじゃなく感じることだと思います。100点満点の振る舞いをすることはできませんが、そうした心がけはきちんと気に留めておこうと思っています」

──そうした意識は以前からですか?

「そこまで考えられるようになったのは、ここ数年です。いまも変わらず自分のことでいっぱいいっぱいではありますが、自分がどういう状態でいれば周りもいやすくなるかと考えるようになりました。役のことも考えながら、ある程度そうやって周りのことも見られるようになってきたと思います」

 伝わってくる柔らかさの奥には、そうした気遣いがきっちりあるのだ。

松本若菜 撮影/有坂政晴

松本若菜(まつもと・わかな)
1984年、2月25日生まれ。鳥取県出身。’07年に佐藤健主演の『仮面ライダー電王』(テレ朝系)で女優デビュー。’17年に石川慶監督の映画『愚行録』で第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞するなど、高い評価を受ける。’22年の連続ドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ系)では、「松本劇場」なる言葉まで生んだ怪演が大きな注目と支持を集めた。’24年は『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)でゴールデンプライムタイムの連続ドラマに初主演し、さらに『わたしの宝物』(フジテレビ系)と2期連続の主演を務めた。ほか出演作にドラマ『君が心をくれたから』(フジテレビ系)、『復讐の未亡人』(テレ東)、映画『コーヒーが冷めないうちに』(2018)など。最新映画『はたらく細胞』が公開。2025年新春も『室町無頼』が控える。

●作品情報
映画『はたらく細胞』
12月13日(金)全国ロードショー
原作:清水茜「はたらく細胞」(講談社「月刊少年シリウス」所載)、原田重光・初嘉屋一生・清水茜『はたらく細胞BLACK』(講談社「モーニング」所載)
監督:武内英樹
脚本:徳永友一
主題歌:Official髭男dism「50%」(IRORI Records / PONY CANYON Inc.)
出演:永野芽郁、佐藤健、芦田愛菜山本耕史仲里依紗、松本若菜、染谷将太、板垣李光人、加藤諒、加藤清史郎、マイカピュ、深田恭子/片岡愛之助/新納慎也、小沢真珠、Fukase (SEKAI NO OWARI)/阿部サダヲ
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)清水茜/講談社 (C)原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 (C)2024 映画「はたらく細胞」製作委員会
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