渡辺正行さん、小宮孝泰さんとともにお笑いトリオ「コント赤信号」を結成氏、『オレたちひょうきん族』などで活躍してきたラサール石井さん。近年は舞台のほか、ラジオ、映画、新聞のコラムなどで活躍中する彼の「THE CHANGE」とはーー。【第2回/全2回】
お笑いをやっていく中で、演劇への夢も持っていました。赤信号では小宮が一番、そんな思いが強かったですね。そこで、赤信号劇団というものを始めます。初演では、まだ全く世に出ていない、後のダチョウ倶楽部の肥後克広、室井滋、近藤芳正なんかも出演しています。
それからは、演劇の仕事が増えていきます。続けていく中でさまざまな出会いがありました。
特に思い出深いのが、中村勘三郎さん。初対面のときは「勘九郎」さんです。最初、旅番組で共演したのですが、ロケ車から出てくる勘三郎さんを見たとき、顔が大きくて迫力があって、「これは浮世絵だ!」って驚いたのを覚えていますね。勘三郎さんは歌舞伎界の御曹司で大スター、僕はストリップからのたたき上げ。立場は全然違うんですが、同い年ですぐ仲良くなりました。
その後、このテレビ共演が縁になって、勘三郎さんが主演する『別府温泉狂騒曲 喜劇地獄めぐり』という舞台の演出を務めることになりました。勘三郎さんは顔の広い方で、次々と出演者を呼んできます。藤山直美さん、渡辺えりさん、寺島しのぶさん、そして広岡由里子さん、柄本明さん、笹野高史さんなどに出演してもらうことになりました。ただ、できあがった脚本がうまくいかず、勘三郎さんから「よろしくね」と言われ、僕が多くを書き直すことになりました。しかし、いざ稽古場に持って行くと、今度は皆さんから、「これは役者が頑張らなきゃあかんなあ」と、やんわりと言われてしまいました(笑)。僕の書き直した脚本でも、まだ納得をしてもらえなかったんですね。だからまた書き直し。
東京公演を終えて、大阪公演へと入ったのですが、それでも演出は修正を繰り返します。皆さん、ご自分でもいろいろできる方ばかりなので、いろいろ大変でした。