俳優を軸に様々なステージで活動を続けるのん。「表現者」としての多岐における活躍ぶりが認められ、先日「第16回伊丹十三賞」を史上最年少で受賞して話題を集めた。のんさんにとってのCHANGEとは?――。【第1回/全3回】
川端康成、三島由紀夫、池波正太郎といった名だたる文豪たちに愛された「山の上ホテル」。ここは、のんさんが主演する映画『私にふさわしいホテル』の舞台だ。監督は『ケイゾク』、『TRICK』、『SPEC』シリーズなどを手掛けた堤幸彦。野心溢れる“文学史上最も不遇な新人作家”中島加代子(のん)と文壇の大御所作家・東十条宗典(滝藤賢一)が権威ある文学賞「鮫島賞」を巡って繰り広げる攻防をコミカルに描く。
のんさんが演じた主人公・加代子とはどのような人物なのか。
「破天荒です(笑)。すごくバイタリティに溢れたエネルギッシュな人だと思います。そして、文学賞を取るためなら手段を選ばない、悪い奴だとも思うんです。でも、自分が書いた小説を読んで欲しいとか、小説が好きだという気持ちだけはすごく純粋で淀みがない。小説を書いたり、何かを創造するというのは孤独な職業だと思いますし、一人だけですごく頑張っている感じはします。自分の“好き”に対しての純粋さ、目的の為なら手段を選ばず何でもやっちゃう“人でなし” なところは少し私に似ているかもしれませんね」
インタビューは映画の舞台「山の上ホテル」で行なわれた。瀟洒なインテリアが美しく、昭和レトロ感溢れるその内観は、令和の時代からみると異世界のようにも感じてしまう。そんなロケーションに合ったドレッシーな衣装に身を包み、のんさんは淡々と、そして丁寧に話す。