『必殺仕事人』シリーズの〝飾り職人の秀〟や、『太陽にほえろ!』の〝ジプシー刑事〟をはじめとする人気ドラマで一世を風靡し、71歳となった現在も渋い二枚目俳優として活躍する三田村邦彦のTHE CHANGEとは————【第3回/全4回】

三田村邦彦 撮影/有坂政晴

 1979年に、作家・村上龍の原作・脚本・監督の映画『限りなく透明に近いブルー』の主人公・リュウで映像デビューした三田村邦彦。出演を決めるまで、何度も断り、村上氏と話し合ったというが、実はこの1年前にも映画の主役オファーを受け、断っていた。

「ぼくが俳優をやりたいと思ったのは、やりたい仕事を自分で選べると思っていたからなんですね。劇団の先輩たちは、年に2回の本公演以外はアルバイトをしていて、ぼくも劇団に入ったからには、そうやって生きていくんだと思っていたし、そのことに安心感を持っていたんです。だから、やりたくない内容の映画なんて、受ける気はまったくなかった」

『限りなく透明に近いブルー』への出演を躊躇していたとき、アドバイスをくれたのは、劇団の先輩で、後に演出家として〝世界のニナガワ〟と呼ばれることになる蜷川幸雄だった。

「あるとき、蜷川さんが稽古場にやってきて、『三田村っていうのは、おまえか! 映画の主役を2年続けて断るなんてバカだ! そんなの、一生に1回も無いのが普通なんだよ!』ってみんなの前で怒鳴られました」